2021.05.20

戦国武将が愛した城のある風景~北陸・福井編1~

戦国武将が愛した城のある風景~北陸・福井編1~

有名武将ゆかりの城が点在する福井の城

北陸の城シリーズ2回目は、福井県を紹介しましょう。 福井県は、北陸三県のなかでも京の都に近いこともあり、歴史を紡ぐ舞台となったこともしばしば。知名度が高い戦国武将とゆかりのある城も多く、筆者のイチオシはHNK大河ドラマでも有名になった明智光秀ゆかりの一乗谷城です。戦国大名朝倉氏の居城であり、一時期、朝倉氏に仕えた光秀がこの地に移り住んでいましたが、後に、織田信長や豊臣秀吉、徳川家康ら名だたる武将が攻め込んでおり、歴史の大きな舞台となっていました。また、柴田勝家の北ノ庄城、越前松平家の福井城のほか、国内に現存する12天守のひとつに数えられる丸岡城も見ごたえありです。
北陸のなかでも、福井県の城跡は散策できるように整備されたものが多く、緑濃い歴史公園をゆったりと巡ることができます。城跡は県内全域に点在していますので、エリアごとに訪ねてみるのもいいでしょう。

※写真(上)は、一乗谷朝倉氏遺跡のシンボルでもある唐門。江戸中期に再建され、1963年に解体修理を行い現在の姿に。

巡ってみよう、福井の城のある風景

数ある福井の城のなかでも、城跡の公園として県民に親しまれたり、登山道を整備した山城の跡など、おすすめ10選を2回に渡りご紹介します。
山城へは、冬の積雪時や梅雨の降雨時など、通行止めの場合もあります。また、熊や猪なども出没しますので、あらかじめ調べておでかけください。

【丸岡城】日本100名城

戦国時代に一向一揆の防御のために、織田信長の命により築かせた平山城で、現在残るのは2重3階の望楼式天守。天正4年(1576)の建築といわれ、現存する木造天守では最古の建築様式をもち、城郭建築の重要な遺構とされています。内部の階段は急で、これは敵の侵入を遅らせるためだとか。天守最上階の回廊からは丸岡の市街地が一望できます。天守は1948年の福井大震災で倒壊しましたが、同じ材料を使い1955年に再建されました。国指定重要文化財。入城450円。日没から22時までは毎夜ライトアップされています。
周辺は霞ヶ城公園として整備され、桜の名所として春には約400本のソメイヨシノが咲き誇ります。日本の歴史公園100選。
●福井県坂井市丸岡町霞町1-59 tel.0776-66-0303(丸岡城管理事務所)

【越前大野城】続日本100名城

大野市街地の標高がおよそ170m、越前大野城は市街地の標高249mの亀山山頂に築かれました。織田信長の家臣、金森長近が天正8年頃(1580)に4~5年をかけて築城したもので、最近では、雲海の中に城郭が浮かび上がるように見える幻想的な風景が見られると「天空の城」として脚光を浴びています(※撮影スポットは戌山城址山頂)。 現在の城郭は1968年の再建。4階の回廊からは碁盤の目のように整備された町並みを見渡すことができます。城内には歴代藩主の遺品などを展示しています。入城300円。城へは登り口から坂道を15分ほど登ります。
●福井県大野市城町3-109 tel.0779-66-1111(大野市商工振興課)

【福井城】続日本100名城

現在は堀に囲まれた本丸跡に福井県庁が置かれている福井城。慶長11年(1606)、初代福井藩主であった結城(松平)秀康が築城し、以降270年間、17代にわたり越前松平家として繁栄しました。今に残る遺構は石垣と堀の一部で、福井の名の由来となった井戸「福の井」跡があります。散策のおすすめルートは、城址西側にある御廊下橋を渡り、櫓門の山里口御門をくぐり抜け城内へ。すぐ左手に天守台石垣があるので上ると福の井を見ることができます。写真は2018年に復元された御廊下橋と山里口御門。
●福井県福井市大手3-17-1 tel.0776-20-5348(福井市観光案内所)

【勝山城】

現在の勝山市役所付近に立っていたとされる勝山城。戦国時代に柴田勝家の一族によって築城され、江戸時代には結城(松平)秀康の支配下に置かれます。その後、越前小笠原氏が177年間、8代にわたって居城としていましたが、明治時代に廃城となり、建物は取り壊されました。城跡には「勝山城址」の石碑が立っています。
●福井県勝山市元町1-5-16

この勝山城から約5㎞離れた地に、姫路城に似た天守風建築の「勝山城博物館」があります。日本一の高さの天守をもち、館内(入館500円)には江戸時代諸大名の甲冑や鎌倉時代の刀剣、近代の書画などを展示しています。写真は勝山城博物館。
●福井県勝山市平泉寺町平泉寺85-26-1 tel.0779-88-6200(勝山城博物館)

【一乗谷城】日本100名城

戦国最強といわれた豪族、朝倉氏の拠点であった一乗谷。天正元年(1573)に織田信長の焼討ちにあった後400年の時を経て発掘調査され、今に蘇った一乗谷朝倉氏遺跡。栄華を極めた当時は、城下におよそ1万人が暮らしていたそうで、その町並の一部を再現した復原町並(入場220円・写真)があります。一乗谷城そのものは城下から離れた山城ですが、攻められたときに朝倉氏は大野市に身を隠していたため使用されることがなかったそうです。城跡は、一乗谷朝倉氏遺跡(標高約134m)から登山道を60~80分で、一の丸、二の丸、三の丸跡などがあり、その先は標高約473mの山頂です。一乗谷朝倉氏遺跡は特別史跡、特別名勝、重要文化財の国の三重指定。
●福井県福井市城戸ノ内町28-37 tel.0776-41-2330(朝倉氏遺跡保存協会)

残りの5選は次回(6月5日)ご紹介いたします。そちらもぜひご覧ください。

お楽しみに!