箔一のあゆみ

金沢箔の美が、生まれるまで。

箔一の創業は1975年。創業者浅野邦子が、それまでの業界の常識をくつがえし箔屋が「金沢箔工芸品」をつくることからスタートしました。
脇役だった箔が「金沢箔」という地域ブランドとして主役になるまで、そして金沢の伝統工芸『金沢箔』を生み出した「箔一」のあゆみをご紹介します。
1970年代

「金沢箔工芸品」と「あぶらとり紙」。

金沢の二つの伝統の始まりは、

箔一から。

創業1975年。当時、創業者浅野邦子が、それまで主役ではなかった箔を「金沢箔」という地域ブランドに育て、「金沢箔工芸品」をつくった時からその歴史がはじまりました。社名は、箔屋で一番に金沢箔工芸品を作ったところから「箔一」としました。そして、今では全国的に知られているあぶらとり紙。中でも最高級品として多くの方に愛用されている「金箔打紙製法 あぶらとり紙」の歴史も箔一と共にあります。金箔製造の副産物であった和紙が、京都の舞妓に愛用されていることに着目、それまでの金箔製造の副産物を「あぶらとり紙」専用の紙として製造、76年に日本ではじめて「金箔打紙製法あぶらとり紙」をつくったのです。
いずれの商品も当初は、東京を中心に、全国の百貨店販売からスタートしました。全国行脚し続け、少しずつ箔一の金沢箔工芸品やあぶらとり紙の売り上げを伸ばしていきました。
1980年代

創業から十年を経て、金沢に一号店。

金沢の方に愛していただけるように。

創業からしばらくは挫折を繰り返し、起動に乗るまで、長い道のりでした。「金沢箔工芸品」が、まずは関東や関西を中心に全国で認められるようになり、創業から十年以上を経て、やっと地元金沢でも認知されてきました。そうしてオープンしたのが、金沢の繁華街にある一号店「香林坊 アトリオ店」です。
そして、同時に金箔の可能性を広げる新事業もスタートします。それが食用金箔事業と、現在の観光事業に繋がる金箔貼り体験用の技法の開発です。
食品業界で一般的だった、金粉と言われる「切り廻し」では差別化できないと考え付加価値の高い商品開発に力を注ぎます。それが「寿」や「祝」という文字を象った「夢の王朝(現アニバーサリー金箔)」や、金箔スプレーなどを開発。金箔による食の演出シーンを広げてきました。また、簡単に金箔貼り体験ができるよう、金箔に特殊なフィルムを重ね、素手で簡単に体験ができる専用金箔を他社に先駆けて考案。人気を博しました。
1990年代

金沢の魅力と共に、

金箔の魅力を伝えるために。

全国と金沢のどちらでも認められるようになったことを証明するように、県や国の様々な表彰を受けることも増えてきました。
「金沢箔を日常で使ってもらいたい』という創業者の思いが衣食住、様々な分野での商品化へと発展し、全国のお客様にお届けできるようになり、その価値が認められた証とも言えます。
97年に現在の本社となる社屋を建設。金沢西インターすぐそばという交通の便に有益な立地に本社を構え、「本社」兼「金箔総合ミュージアム」となる「箔巧館(はくこうかん)」を建設します。この施設は、金箔の美しさや厳かさ、繊細さを目で見て、耳で聞き、触れて、食べて体感できる施設として建てられました。地元金沢の方にはもちろん、好立地という条件を活かして、県外のお客様にもご来館いただける大型の施設です。
この本店を中心に、金沢市内の観光地に店舗が増えていき、様々な形態の事業にも展開していくこととなります。
2000年代

金沢箔の伝統革命。

伝統美を後世に伝えるために。

東京営業所の開設を皮切りに、海外戦略へと乗り出しました。ドイツやフランスでの見本市に出展し、海外市場の開拓へと乗り出します。また技術開発部門を強化し、建築事業の可能性が大きく広がってきました。
これまで金沢箔工芸品は、お皿やお重、茶托などといった、昔ながらのものだけというイメージを払拭するように、USBメモリーを漆と金沢箔で仕上げるなど異業種と金沢箔とのコラボレーションの可能性が大きく広がった時期でもあります。イタリアの照明器具や、大手家電メーカーとのとのコラボレーション。また、店舗や建築の内装に加え、九州新幹線や観光バスといった交通機関など基準が厳しい物件への金箔の加工のニーズも高まり、実績とともに箔一の技術力は向上してきました。
2010年代

伝統工芸の新しい生産体制を構築。

金箔を金沢より世界に発信。

全ての事業において、新しい挑戦と改革を繰り返し、発展の時期を迎えます。
観光事業においては、2015年3月の北陸新幹線開通において、金沢全体の観光における人の流れが大きく変化しました。箔一は金沢の主要観光地には、店舗がありますのでお客様の旅行プランに応じてお買い物や金箔体験ができるよう店舗の対応力を強化して参りました。
また、新幹線が話題になったこともあり、金沢以外のエリアでも引き合いが増え、工芸品を中心に生産体制を強化。それが、17年春に新しく竣工した箔一安原第五工場です最新鋭の設備を投入し、ガラス張りで見通しの良い工場は、これまでの閉ざされた伝統工芸のイメージとは異なり、産業観光を通して、金沢箔の魅力を世界に向けて発信する基地を目指しています。