2020.12.05

日本海側初の国立美術館~国立工芸館~が金沢に誕生!②

日本海側初の国立美術館~国立工芸館~が金沢に誕生!②

国立工芸館内に入ってとことん見学しました!

国立工芸館は、陶磁、漆工、ガラス、木工、染織、金工、人形など、国内外の近現代の秀作を所蔵しています。前回①の紹介では外観と周辺観光スポットの説明のみでしたが、今回は館内の見学をしてきました。

2棟の真ん中にある玄関を入ってすぐのエントランス正面、中庭の巨大な焼物の作品にまず目を奪われます。高さは約3mもあり、圧巻の迫力。世界で活躍する陶芸家の金子潤氏の作品です。彼は大型陶磁器制作の第一人者だそうで、この作品は常設展示となっており、館のシンボル的な存在です。

館内には展示室が3つあります。東京の工芸館の収蔵作品約3900点のうち約1900点を金沢の国立工芸館に移転。その所蔵作品の中からテーマを設けて季節ごとに企画展示がされていきますので、何度も楽しみたい美術館です。
今回鑑賞したのは「工の芸術―素材・わざ・風土」です。【Ⅰ素材とわざの因数分解】、【Ⅱ「自然」のイメージを更新する】、【Ⅲ風土―場所ともの】のテーマで、3つの展示室に近代日本工芸の名作約130点が展示されていました。人間国宝の作品を含む作品は見ごたえたっぷりで、日本工芸の繊細な色使いや精緻な技術の高さに圧倒されました。この展覧会は2021年1月11日まで。2021年1月30日~4月15日は「うちにこんなのあったら展 気になるデザイン×工芸コレクション」を、また、4月29日~7月4日は茶の湯をテーマにした展覧会を開催予定です。

鈴木長吉作、「十二の鷹」の3羽を展示。重要文化財の作品

吹き抜けの空間に展示された金子潤作、無題《 Untitled (13-09-04) 》

富本憲吉作、《色絵染付菱小格子文長手箱》

石黒宗麿作、《彩瓷柿文壺》

ユニークな趣向の楽しい企画展示も

沖縄から北海道までの工芸を幅広く展示

漆聖と称される松田権六氏の工房を展示

国立工芸館の2階、常設展示として見学できるものに「松田権六の仕事場」があります。金沢出身の漆芸家であり、重要無形文化財保持者の松田権六(1896-1986)の工房を東京から移築し、復元したコーナーです。白熱電球が下がるわずか3畳ほどの狭い制作スペースにはちょっと驚きますが、作業台に向かい少し手を伸ばせば道具が取れる便利さはあったと感じられます。制作道具や関連資料などが展示される棚には松田権六の手帳が展示され、金沢でのスケジュールなども記されておりとても興味深い内容です。

 

松田権六氏の小ぢんまりとした仕事場を展示

松田権六作、《蒔絵螺鈿有職文筥》

松田権六作、《片身替塗分漆椀》

余すところなく見学したい工芸館

工芸館内に入って左手、展示室1に向かう前に立ち寄りどころが3つあります。1つは、最新のデジタル鑑賞システムで、画面を直接タッチして操作するだけで作品の詳細にアクセスできたり、3D画像では茶碗の裏など自由に回転させたり、縮小・拡大ができ、作品の細部まで楽しめます。

2つめはアートライブラリーで、国内外の工芸やデザインに関する本が閲覧できます。3つめはミュージアムショップ。展覧会図録をはじめ、グッズや工芸関連書籍を販売。抹茶碗や茶筒、コーヒーカップ、Tシャツ、工芸館オリジナルのポストカードやバッグも並んでいます。展覧会鑑賞後に立ち寄ってじっくり品定めしたいですね。
また、明治期の建物を移築した洋館の建物なので、外観も館内もレトロ感満載。館内のケヤキ造りの木製階段など、情緒ある歴史的建造物も楽しみです。

作品の詳細が分かるタッチパネル

アートライブラリー。本の貸出しはしてないが複写サービスあり

展覧会図録やグッズなどを揃えるミュージアムショップ

2階展示室へと続くレトロな階段も見どころ

国立工芸館
(東京国立近代美術館工芸館)

TEL : 050-5541-8600 (ハローダイヤル 8:00~22:00)
住所 : 石川県金沢市出羽町3-2
時間 : 9:30~17:30(入館は17:00まで)
休日 : 月曜(祝日の場合は翌平日)、年末年始 ※臨時休館あり
料金 : 展覧会により異なる
駐車場 : JR金沢駅から兼六園シャトルで16分、県立美術館・成巽閣下車、徒歩2分。またはJR金沢駅から城下まち金沢周遊バス右まわりで18分・左回りだと20分、広坂・21世紀美術館下車、徒歩6分

※画像は建物の後ろにある屋外展示。橋本真之作、《果樹園―果実の中の木もれ陽、木もれ陽の中の果実》