2018.03.20

室生犀星の文学は、美しき犀川のほとりから始まった。

室生犀星の文学は、美しき犀川のほとりから始まった。

ふるさと金沢への思いを作品に込めて

「ふるさとは遠きにありて思ふもの そして悲しくうたふもの」。これは金沢三文豪のひとり、室生犀星の『抒情小曲集』に収められた一節。詩人として身を立てようと上京した若き日の犀星が、ふるさと金沢への思いを断ち切らんとする切なさを表現したものです。 明治22年(1889)に私生児として生まれた犀星は、生まれて間もなく犀川ほとりの雨宝院に引き取られ、養子となりました。こうした複雑な生い立ちが、美しいふるさとへの思いや命を慈しむ心、家族愛を描く犀星文学に大きな影響を与えたといわれています。犀川の西に生まれ育ったことがペンネームの由来となったように、犀川の風景をこよなく愛した犀星。「美しき川は流れたり そのほとりに我はすみぬ」というように作品にもたびたびその名が登場します。

室生犀星が幼少のころに過ごした雨宝院

室生犀星の生誕地跡に建つ室生犀星記念館

犀星が生涯愛し続けた原風景を訪ねる

犀星の生家跡には「室生犀星記念館」があります。犀星の自筆原稿や遺品、壁面いっぱいに並ぶ全著作の表紙パネルなどのほか、さまざまな切り口で犀星文学を紹介する企画展示もみもの。自宅から移設した石塔や手洗鉢を配した庭も風情があります。記念館の近くに立つ雨宝院は、犀星が幼少期から暮らした寺。犀星ゆかりの品々が展示されているほか、小説『杏っ子』の題材となった杏の木や、『性に目覚める頃』に登場する賽銭箱なども見ることができます。
雨宝院そばの犀川大橋から上流の桜橋の間には、川の両岸に犀星のみちが整備されており、右岸には流し雛をかたどった文学碑も。清らかな犀川の流れ、その向こうにはふるさとの山々。「春は春、なつはなつの 花つける堤に座りて」と詠んだように、かつて犀星もこの川べりにじっとたたずんで景色を楽しんだに違いありません。

室生犀星記念館1階展示室

室生犀星と作品・交友と人柄をテーマにした展示室

年代順に並ぶ室生犀星の全著書の表紙パネル

室生犀星記念館

むろおさいせいきねんかん

TEL:076-245-1108
住所:石川県金沢市千日町3-22
開館:9:30~17:00(入館は16:30まで)
休館:無休(展示替え期間、年末年始は休館)
料金:入館300円




 

犀川大橋から徒歩7分。香林坊アトリオにある
金沢箔工芸品とランチや軽食を楽しめるショップ。

金沢市の中心街、香林坊1丁目にあるファッションビルアトリオ。この地下に、金沢箔工芸品と、コーヒーや軽食、ランチを楽しめるカフェがあります。犀川大橋から、金沢城公園や金沢21世紀美術館へや、長町武家屋敷などに行くルート上にありますので、散策のあいまに立ち寄っていただけます。食用金箔を使った甘味などもありますので、旅の思い出にもぴったりです。

箔一 香林坊アトリオ店
金沢市香林坊1-1-1 アトリオB1F
TEL:076-224-0891
営業時間:午前10:00~午後6:00
定休日:香林坊アトリオに準じる