2017.12.05

加賀友禅~城下町の美意識をまとう~

加賀友禅~城下町の美意識をまとう~

武士のまちに映える着物

加賀百万石の城下町金沢は、着物が似合うまち。江戸中期からの歴史を受け継ぐ「加賀友禅」の産地でもあります。加賀友禅の特徴は、藍・臙脂(えんじ)・黄土・草・古代紫の加賀五彩を基調とした落ち着いた色味と、草花などをモチーフとした写実的な絵柄。色の濃淡をつける「ぼかし」や、風物のありのままを描く「虫食い」といった技法を用いて自然美を着物に映し出します。金箔や刺繍などをほどこした京友禅に比べると決して華やかではありませんが、質実剛健を旨とする武家文化が生み出した気品と趣とが、加賀友禅ならではの存在感を醸し出します。金沢には古くから「加賀お国染」とよばれる独特の染色技術がありましたが、それが加賀友禅として花開いた背景には、江戸中期に京都から移り住んだ絵師・宮崎友禅斎の存在があります。彼は扇や着物のデザインで人気を博した、いわば売れっ子デザイナー。友禅斎が加賀の地へ持ち込んだ斬新な意匠や友禅染の技術が、加賀友禅の礎となりました。

加賀友禅

加賀友禅を見て、着て、体験する

高価なイメージがある加賀友禅ですが、金沢を訪れたならぜひ本物に触れてみたいもの。兼六園のそばにある「加賀友禅会館」では、加賀友禅の着物や工程などの展示を見ることができるほか、「着用体験」も人気を集めています。足袋や草履などの小物も揃えているので手ぶらでも大丈夫。加賀友禅の着物を身にまとって散策に出かけましょう。周辺には兼六園やひがし茶屋街など、着物姿が一段と映えるスポットが数多く点在します。また「染め体験」では本格的な手描きコースと、小さな子どももチャレンジできる型染めコースがあり、オリジナルの友禅ハンカチなどを制作できます。自分が手がけた加賀友禅は愛着もひとしお。旅の印象もより深まることでしょう。

加賀友禅

加賀友禅会館

かがゆうぜんかいかん
TEL:076-224-5511
住所:石川県金沢市小将町8-8
営業時間:9:00~17:00
休館日:水曜休館(祝日の場合は開館)
入館料: 展示スペース入館310円
■きもの着用体験:館内着用2000円/散策(1時間)4500円/散策(3時間)6000円
■加賀友禅染め体験:型染め(ハンカチ)1620円/型絵染め(ハンカチ)1620円/型絵染め(トートバッグ)2160円/手描き(ハンカチ)2700円
※すべて要予約