2024.07.20

加賀藩の支藩、城下町の面影残す~大聖寺を訪ねて~

加賀藩の支藩、城下町の面影残す~大聖寺を訪ねて~

戦い敗れ、前田利家の家臣が主になった大聖寺城

大聖寺の歴史と概要 金沢駅からIRいしかわ鉄道で約50分、北陸新幹線だと、金沢駅から約15分の加賀温泉駅でIRいしかわ鉄道に乗換え約4分、大聖寺駅下車。
かつて大聖寺藩10万石の城下町として栄えたエリアです。中世に築かれたという大聖寺城と隣り合う丘陵地に、天台宗寺院の大聖寺があったそうで、地名の由来はここから。関ヶ原の戦いのあと、徳川方についた金沢城主前田利家に攻め込まれ、利家の家臣が城代となりました。10万石の城下町として、古九谷~再興九谷、羽二重絹織物の大聖寺絹、北前船交易などで財をなし繁栄、豊かな城下町を形成していました。散策ルートの中には大聖寺二代藩主前田利明が建てた時鐘堂があったり、寺院が集まる山ノ下寺院群があったり、往時の面影が色濃く残る町を散策してみましょう。
メイン写真は、桜の名所として知られる熊坂川河畔の桜並木です。春には、およそ1kmにわたり約200本のソメイヨシノが咲き誇り、花見客が遠方からも訪れて賑わいます。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


白萩が境内一面を覆う「実性院」

実性院(じっしょういん)は、大聖寺藩主前田利治の戒名にちなんだ寺名。大聖寺藩歴代藩主の墓や位牌を安置しています。秋口には、境内を覆い尽くすように可憐な白い萩の花が咲くことでも有名で、通称「萩の寺」とも呼ばれています。萩の見ごろは9月初旬~。実性院は大聖寺駅から約750mに位置。
※2024年1月1日の能登半島地震で被害を受け、2024年7月現在、拝観を停止中。境内は危険なため、中に入ることができません。


TEL:0761-72-1104
住所:石川県加賀市大聖寺下屋敷町29

撮影は花が咲く前、萩の緑がまぶしい7月中旬

歴代の位牌が並びますが、拝観することができません

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

1つとして同じ顔がない五百羅漢「全昌寺」

曹洞宗の全昌寺(ぜんしょうじ)は、大聖寺城主だった山口宗永の菩提寺です。江戸末期に京都の仏工・山本茂佑によって作られたという五百羅漢像が見事です。羅漢堂に安置されていてその数517体あり、鮮やかな彩色が施されています。また、元禄2年(1689)、俳人松尾芭蕉が『奥の細道』行脚の途中に立ち寄り1泊したといい、その際の部屋が茶室として再現されています。境内には芭蕉と弟子曽良の句碑も立っています。ほかにも歴史的な寺宝も多く、じっくり見学したいお寺です。


TEL:0761-72-1164
住所:石川県加賀市大聖寺神明町1
時間:9時~17時
休日:無休
料金:拝観料500円
駐車場:20台

極彩色に彩られた五百羅漢像。ユニークな姿もあり見つけられるかな?

大聖寺駅から約650m、実性院から約450m

寺の大切な歴史的資料が保存・展示されている

境内には松尾芭蕉と曽良の句碑がある

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

豪壮な屋敷の一部を見学「蘇梁館」

天保11年(1841)に建てられた屋敷を移築した、蘇梁館(そりょうかん)。NPO法人たぶんかネット加賀の活動拠点となっており、館内スペースの貸出もしています。元々は加賀市の港町橋立地区にあり、北前船交易で巨万の富を築いた久保家の建物。その屋敷の一部を移築し、北前船をイメージした石庭とともに一般公開しています。屋敷の一部は金沢市の「武家屋敷跡野村家」として公開されています。また、収蔵品には「源氏物語図屏風」があり、江戸時代初めごろに描かれたとされる貴重な史料で、展示公開スケジュールは蘇梁館に問合せを。


TEL:0761-72-5350
住所:石川県加賀市熊坂町ハ28-3
時間:9時~17時(入館は~16時30分)
休日:無休
料金:見学は無料 駐車場:20台

枯山水の石庭と右が屋敷

源氏物語図屏風

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

絵画のような器を学ぶ「石川県九谷焼美術館」

石川県の伝統工芸、九谷焼(くたにやき)を展示紹介する専門美術館。展示室入口では謎多き古九谷や再興九谷など、九谷焼のルーツを紹介。展示は、「青手」、「色絵・五彩手」、「赤絵・金襴手」の3つの絵付けの様式ごとに分けて紹介し、その特徴や成り立ちなどを詳しく学べます。
館の2階はカフェ&ショップの茶房古九谷。今週の和菓子と抹茶やロールケーキと珈琲など、ドリンクやスイーツを九谷焼の器で味わえます。ショップでは九谷焼作家の器が並び、自分好みの器が見つかるかも!


TEL:0761-72-7466
住所:石川県加賀市大聖寺地方町1-10-13
時間:9時~17時(入館は~16時30分)、茶房は9時30分~17時30分
休日:月曜(祝日の場合は開館)、
年末年始 料金:展示室入館560円、茶房利用は入館料なし
駐車場:32台

美術館入口。大聖寺駅から約550m、蘇梁館から約300m

緑・紫・紺青・黄の色彩が鮮やかな作品が並ぶ「青手の間」

赤や金を使う華やかな九谷焼を展示する「赤絵・金襴手の間」

屋外庭園の緑が見渡せる2階の茶房古九谷で一服

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

レトロ建築の「カフェサロン銀」でひと休み

以前は歯科医院だったという、昭和初期のクラシックな洋風建物を利用したカフェ。靴を脱いでスリッパに履き替えて入る方式です。かつての待合室がカフェスペース、診察室はギャラリー、受付はカウンター席にリノベーション。レトロなお部屋でドリンクとスイーツをゆっくりとどうぞ。室内には、歯科医院だったころの道具などがレイアウトされていたりと、探してみるのも楽しいかも。 彫金工房を併設しているので、店内ではアクセサリーも販売。予約すれば、制作見学やアクセサリー作りの体験教室の参加も可能です。


TEL:0761-73-0019
住所:石川県加賀市大聖寺本町10-1
時間:10時~17時
休日:木曜、年末年始
駐車場:2台

ドリンクと手作りケーキのセット800円

洋と和が混在した洋館風の外観

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

日本百名山の著者を知る「深田久弥山の文化館」

推定樹齢650年といわれる巨大なイチョウの木が何本もあり、目印となっている深田久弥(ふかたきゅうや)山の文化館。『日本百名山』の著者として知られる深田久弥は加賀市大聖寺の出身です。「人には人格があり、山には山格がある」と言う深田久弥の好きな山はふるさとの白山です。明治後期に建てられた絹織物工場の事務所や石蔵などを利用した館内では、登山家であり山の文学者であった深田久弥の人となりを紹介しています。彼の愛蔵品や業績の紹介・展示のほか、山と自然に関する本を集めた資料文献室も併設しています。 敷地内には、かつての絹織物工場社長宅を改装した茶房聴山房があり、来館者の憩いの場ともなっています。窓からは庭の苔も見渡せ風流。茶房のみの利用もOKです。


TEL:0761-72-3313
住所:石川県加賀市大聖寺番場町18-2
時間:9時~17時(入館は~16時30分)、茶房は10時~16時LO
休日:火曜(祝日は開館)、年末年始
料金:入館350円、茶房利用は入館料なし
駐車場:50台

建物は国登録有形文化財。大聖寺駅から約1400m

土蔵内部の展示室。久弥の生き様を知ることができる

山中温泉こおろぎ橋の解体された橋板を使ったベンチ

コーヒー300円などのドリンク3~4種のみ

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

加賀藩ゆかりの「江沼神社/長流亭」

江沼神社(えぬまじんじゃ)は、菅原道真と大聖寺藩祖前田利治(加賀三代藩主前田利常の子)を祀っています。金沢の兼六園を参考にしたという池泉回遊式庭園があるほか、神社から200mほど離れた旧大聖寺川河畔には長流亭(ちょうりゅうてい)が立っています。茶の湯や宴会などに利用するための風流な建物で川端御亭とも呼ばれており、国指定重要文化財。簡素な造りですが、随所に豪華な細工が見られるとのことです。江沼神社は境内自由ですが、長流亭の内部見学は有料で江沼神社に事前予約が必要。


TEL:0761-72-0043(江沼神社)
住所:石川県加賀市大聖寺八間道町55
時間:長流亭は9時~16時(11月~2月は~15時)
休日:長流亭は年末年始、祭例時
料金:長流亭見学400円
駐車場:10台

うっそうとした森に包まれた江沼神社。大聖寺駅から約1500m

旧大聖寺川の水面に姿を映す長流亭


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


7月20日大聖寺散策