2024.06.04

美味しい金沢を紹介。地元ライター~おすすめグルメ編(2)~

美味しい金沢を紹介。地元ライター~おすすめグルメ編(2)~

加賀藩の礎を築いた前田利家をはじめ前田家代々は、能や狂言、茶の湯などの文化面を奨励し、おのずと金沢漆器や九谷焼、加賀友禅などの工芸品も育まれていきました。一方で京都や江戸などから料理人を金沢に招いて料理を作らせるなど、美食家であったともいわれ、今日の加賀料理の基礎となったともいわれています。
石川には豊かな自然に育まれた滋味あふれる食材が多く、料理人の工夫によりさらに美味しい一品に仕上げられています。外国人の観光客も増えるなか、世界に通用するような魅力的な店をピックアップします。



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金沢の食文化を牽引する、料理人の挑戦

【金澤せつ理】
令和元年、食通たちの注目を集めて開店したカウンター割烹「金澤せつ理」。舌の肥えた大人が通い、惜しまれつつ閉店した旧「懐石つる幸」の二代目であった河田康雄さんが、ここで新境地をひらいています。
河田さんの本領といえば、お客様をわくわくさせる意外性。トリュフやブルーチーズといった日本料理の枠にとらわれない素材使い、イカ墨やカニ味噌のシャーベットを餡にする茶碗蒸しや、加賀太きゅうりをくりぬいて鮮やかに盛り付ける造りなど独創性も豊か。
「自分が食べたいものをつくることを大切にしています、お客様目線で、ですね。それに料理人として、さらに勉強したいですし、楽しい思いもしたい。そういう意義のある料理をお出ししたい」。献立はおまかせコースのみ。河田さんの仕事を眺める清澄な空間で、口福の歓びに浸ることができます。

tel. 076-264₋2375
住/石川県金沢市高岡町4₋5
時/18時30分~22時(完全予約制)
休/日曜
席/カウンター6席、個室1室4席
P/なし 
予算/2万5000円~

旧つる幸のすぐ近くにひっそりと佇み、思わず通り過ぎてしまいそう

造りは、ナメラ、地物のボタンエビなどその日によって異なる

イカ墨シャーベッドの茶碗蒸し、トリュフ入りさつま揚げなどの八寸

清々しい印象を醸す檜のカウンター、網代天井など伝統的な内装

 

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クラシックな王道フレンチを気軽に味わう

【Couleur(クルール)】
金沢の中央を流れる清流、犀川の河畔に、隠れ家のようにひっそりと佇む小さなフレンチレストラン。オーナーシェフの吉田さんは、調理師専門学校時代からフランス料理一筋で、フランス各地方の郷土料理の伝統を基本に、豊潤なフランス料理の味わいを大切にしています。ワインの品揃えもフランスワインオンリーの正統派です。
食材の味わいが前面に出る料理が得意で、フレッシュな鶏レバーが入荷したときだけ作るスペシャリテ「鶏白レバーのパテ」は、レバーとタマネギと卵だけというシンプルさ。また、「オニオングラタンスープ」は、ブイヨンを使わず、水だけでじっくり煮込みます。「タマネギの美味しさを味わう料理だから肉の旨味は必要ないんです」と明快な答えが返ってきました。本日のメニューは黒板に書かれてあり、昼・夜ともアラカルトもOKなので、気軽に立ち寄りたいレストランとしても要チェックです。

tel. 076-255-0266
住/石川県金沢市十三間町93
時/12時~14時LO、18時~22時LO ※昼・夜ともに要予約
休/水曜
席/テーブル8席、カウンター6席
P/なし
予算/昼4000円~、夜1万円~

犀川河畔に店を構えて10年、常連客も多い

温前菜「コンテチーズのテリーヌ」

メイン料理「牛ホホ肉の赤ワイン煮込み」

シンプルで明るい雰囲気の店内

 

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駅ナカで昼からおでんを肴に一杯

【季節料理 おでん 黒百合】
アツアツのおでんは冬の食べ物と思われがちですが、金沢は通年営業のおでん専門店が市内に点在し、地元ファンが年中通っています。近年は「金沢おでん」としてメディアやSNS発信の影響も加わり、どこのおでん屋の前にも長い行列ができています。
ここ黒百合は現3代目の和田さんが創業者の味を守る老舗。煮干しやカツオ節、昆布などのダシと、やや甘口の地元醤油を使うつゆはまろやかで、飲み干したくなるほどのコク旨。おでんは、ふかしや赤巻かまぼこ、車麩、ばい貝、源助大根、がんもなど金沢の定番をはじめ、食べ飽きしないように30種ほどそろいます。これに加えてバラエティ豊かな一品料理も魅力で、日本海から揚がる魚介の刺身や焼物、オリジナルの総菜など酒が進む品ばかり。電車の待ち時間や通勤帰りに寄る人も多く地元に愛される1店です。

tel. 076-260-3722
住/石川県金沢市木ノ新保1-1 金沢百番街あんと内(金沢駅構内)
時/11時00分~21時30分LO
休/無休
席/テーブル20席 カウンター25席
P/なし
予算/おでん:車麩350円、梅貝700円ほか。ランチ定食850円~

駅構内にあるため、待ち時間に利用しやすい

赤と白が渦巻き状のかまぼこやフキ、車麩、シューマイなど

大豆をたっぷり使う白山堅豆腐の刺身580円は濃厚な味わい

おでん鍋を取り囲むように並ぶカウンター席とテーブル席がある

 

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ジャズが流れるおとなのカフェでひと息

【Café Lente(カフェレンテ)】
金沢の奥座敷とも称される湯涌温泉。その一角、浅野川の支流・湯の川の流れを背にして佇むシックな建物。店内は音楽好きの店主夫妻が営む、落ち着いた大人の空間になっています。加賀産のスギ材や越前和紙、奥能登の珪藻土など、自然素材をふんだんに使って仕上げられ、靴を脱いで上がるスタイル。友人宅に訪れたようなリラックスした雰囲気がとても心地よいカフェです。
ハンドドリップコーヒーを待つしばしの間、流れるジャズに耳を傾け、緑濃い窓外の景色を楽しむのも一興。コーヒーに金箔を浮かべる金沢らしいコーヒーもおすすめです。小腹が空いたらかぼちゃのカレーグラタンやフルーツサンドを。自家製プリンなどのスイーツもあり、店名の通りゆっくりくつろぐことができます。不定期ですがライブやジャムセッションも行われています。

tel. 080-3048-3732
住/石川県金沢市湯涌町イ17-3
時/10時~17時
休/火・水・木曜
席/テーブル18席、カウンター4席
P/2台
予算/コーヒー600円~、プリン400円

ラテン語からとった店名で「ゆっくり、ゆったり」という意味

かぼちゃのカレーグラタン(コピ・ルアックのミニパン付)700円

中深煎りの金箔入りコーヒー700円

窓外に渓谷美が広がる店内。店主が造ったテーブルなどにも注目