加賀藩の礎を築いた前田利家をはじめ前田家代々は、能や狂言、茶の湯などの文化面を奨励し、おのずと金沢漆器や九谷焼、加賀友禅などの工芸品も育まれていきました。一方で京都や江戸などから料理人を金沢に招いて料理を作らせるなど、美食家であったともいわれ、今日の加賀料理の基礎となったともいわれています。
石川には豊かな自然に育まれた滋味あふれる食材が多く、料理人の工夫によりさらに美味しい一品に仕上げられています。外国人の観光客も増えるなか、世界に通用するような魅力的な店をピックアップします。
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金沢の食文化を牽引する、料理人の挑戦
【金澤せつ理】
令和元年、食通たちの注目を集めて開店したカウンター割烹「金澤せつ理」。舌の肥えた大人が通い、惜しまれつつ閉店した旧「懐石つる幸」の二代目であった河田康雄さんが、ここで新境地をひらいています。
河田さんの本領といえば、お客様をわくわくさせる意外性。トリュフやブルーチーズといった日本料理の枠にとらわれない素材使い、イカ墨やカニ味噌のシャーベットを餡にする茶碗蒸しや、加賀太きゅうりをくりぬいて鮮やかに盛り付ける造りなど独創性も豊か。
「自分が食べたいものをつくることを大切にしています、お客様目線で、ですね。それに料理人として、さらに勉強したいですし、楽しい思いもしたい。そういう意義のある料理をお出ししたい」。献立はおまかせコースのみ。河田さんの仕事を眺める清澄な空間で、口福の歓びに浸ることができます。
tel. 076-264₋2375
住/石川県金沢市高岡町4₋5
時/18時30分~22時(完全予約制)
休/日曜
席/カウンター6席、個室1室4席
P/なし
予算/2万5000円~
旧つる幸のすぐ近くにひっそりと佇み、思わず通り過ぎてしまいそう
造りは、ナメラ、地物のボタンエビなどその日によって異なる
イカ墨シャーベッドの茶碗蒸し、トリュフ入りさつま揚げなどの八寸
清々しい印象を醸す檜のカウンター、網代天井など伝統的な内装