2022.11.20

石川のお隣、富山のアートを訪ねて

石川のお隣、富山のアートを訪ねて

美術文化のレベルが高い富山の美術館

石川に、現代美術を専門に展示する金沢21世紀美術館が開館したのは2004年のこと。そのずっと以前、1981年にオープンしたのが富山県立近代美術館です。富山県置県100周年の記念として設立されたもので、20世紀以降の巨匠の作品を中心に展示。常設展には、ピカソやロートレック、シャガールなど、シュルレアリスム作家の作品が展示されていました。アンディ・ウォーホルの『マリリン』なども収蔵していましたが、老朽化などにより富岩運河環水公園の西地区に新築移転。2017年、「富山県美術館」と名称を変更し堂々とオープンしています。 富山にはユニークな美術館が各地に誕生しています。「富山県水墨画美術館」、「樂翠亭美術館」、「富山市佐藤記念美術館」、「富山市ガラス美術館」、「秋水美術館」、「ギャルリ・ミレー」など、富山市内でざっと思いつくだけでもこんなにあります。東部に行けば、宇奈月温泉にある「セレネ美術館」、発電所を利用した「下山芸術の森発電所美術館」、「百河豚美術館」などが、西部では「高岡市美術館」や棟方志功の作品を展示する「南砺市立福光美術館」などがあります。

富山の美術館を5館、紹介します。

金沢駅から新幹線で高岡駅は15分、富山駅は20分、黒部宇奈月温泉駅は35分という近さ。予約なしで乗車できる高速バスは、金沢・富山間約1時間・1200円。金沢から日帰りで十分楽しめますので、計画してみてください。

◇ 富山県美術館 ◇ とやまけんびじゅつかん

運河べりに芝生が広がるみずみずしい富岩運河環水公園の一画に位置。吹き抜けのガラスの向こうには立山連峰の雄姿も望める絶景の美術館です。富山県立近代美術館から作品を引き継ぎ、常設のコレクション展では、世界の巨匠・ピカソやロートレックなどの作品をはじめ、1万4000点あまりのポスター、約170種の椅子といった収蔵品を約3カ月ごとに展示替えしています。国内外の名作椅子が並ぶ展示室には、ガウディがデザインした椅子もあり、実際に座れるものもあるそうですが、現在のコロナ禍では休止中。屋外広場の大・中・小のクマの彫刻や屋上庭園のユニークな遊具などは子どもに人気です。ミュージアムショップでは、作品をモチーフにしたグッズも見逃せませんね。

tel.076-431-2711
住 富山市木場町3-20
時 9時30分~18時(オノマトペの屋上は8時~22時)
休 水曜(祝日の場合は開館)、祝日の翌日
料 入館無料、コレクション展300円、企画展は展覧会により異なる
P 103台(有料)

20世紀の椅子コレクションは3カ月に1度展示替え

オノマトペの屋上には、擬音語、擬態語の名前が付いた個性的な遊具が並ぶ

立山連峰に向かって全面ガラス張りになっている

オノマトペの屋上の遊具をモチーフにした、ぷりぷりペーパーウェイト1個3300円

◇ 富山市ガラス美術館 ◇ とやましがらすびじゅつかん

1991年に、全国初の公立ガラス専門教育機関となる富山ガラス造形研究所が開校。1994年には作家たちの創作拠点となる富山ガラス工房が開設されるなど、富山市は「ガラスのまち」として注目を集め、そのシンボル的施設として2015年にオープンしたのが富山市ガラス美術館です。展示されているのは地元ゆかりの作家の作品を含む最先端のガラスアート。光と色、造形が織りなす美の世界は、ガラスの既成概念を変えてくれます。 美術館がある複合施設・TOYAMAキラリの建物を設計したのは、建築家・隈研吾氏。外観はアルミと御影石、ガラスという異素材を組み合わせて立山連峰をイメージし、街中でひときわ目を引いています。館内の2階から6階までを斜めに貫く吹き抜けは圧巻です。

tel.076-461-3100
住 富山市西町5-1
時 9時30分~18時(金・土曜は~20時)
休 第1・3水曜(企画展により異なる)
料 常設展200円(企画展は展覧会により異なる)
P なし

富山県産の杉材やガラスを使った吹き抜けを見上げる開放的な2階フロア

所蔵品の展示が行われる常設のコレクション展は年2~3回入れ替え

ミュージアムショップで見つけた冷酒グラス 越翡翠4400円は中尾雅一作

富山の産業でもあるアルミやガラスを用いて、光を反射させている建物

◇ 富山県水墨画美術館 ◇ とやまけんすいぼくがびじゅつかん

その名の通り、水墨画の世界を紹介する美術館。美しい芝の中庭を、L字型に囲むように平屋造りの建物を配置し、庭に臨む面はすべてガラス張り。鑑賞の合間に長い廊下を歩きながら外の景色を愛でるという時間の過ごし方も楽しみの一つです。収蔵品は、日本の近代以降の水墨画を中心に、横山大観、竹内栖鳳、菱田春草、富岡鉄斎、小林古径、堂本印象といった名だたる作家約30人の逸品が揃っています。常設展示ではそのうちの25点ほどを紹介しており、富山県出身の下保昭の作品室も常設。茶室「墨光庵」では呈茶も行われています。

tel.076-431-3719
住 富山市五福777
時 9時30分~18時(入館は~17時30分)
休 月曜(祝日の場合は翌平日)、臨時休館あり

P 165台

和風平屋造りの洗練された外観

収蔵品を展示する常設展示室のほかに展示室が2室

◇ 樂翠亭美術館 ◇ らくすいていびじゅつかん

作品の鑑賞だけでなく、芸術と建築、庭園が織りなす独自の世界を堪能でき、さらに展示スペースが畳の上という珍しい美術館。約1200坪の広大な敷地内に、1950年代建築の純日本家屋を改修した優美な邸宅。茶室、土蔵、洋館などがあり、それらを巡るように回遊式の日本庭園を整備。作品は、工芸・美術から現代アートまでとさまざまで、来館者は四季折々の庭の風情を愛でながら、作品と空間のコラボレーションをゆっくり鑑賞できます。ミュージアムショップは無料で入館でき、オリジナル商品のほか地元作家のグッズなども充実しています。

tel.076-439-2200
住 富山市奥田新町2-27
時 10時~17時(入館は~16時30分)
休 水曜(祝日の場合は翌平日)、展示替え期間

P 10台

伝統工芸から現代美術まで、企画の多彩さも魅力の美術館

窓から眺める庭園も一枚のアートのよう

◇ 南砺市立 福光美術館 ◇ なんとしりつ ふくみつびじゅつかん

医王山北麓に立ち、常設として福光ゆかりの板画家棟方志功と、日本画家の石崎光瑤を取り上げています。棟方は仏教的な題材に傑作が多く、サンパウロビエンナーレ国際美術展の版画部門最高賞、ヴェネツィア・ビエンナーレ国際美術展の国際版画大賞を受賞して「世界のムナカタ」の名を得ています。福光町には約7年間疎開しており、まだ無名だった頃の作品などを展示しています。一方、石崎は旧福光町出身で京都画壇の竹内栖鳳の門下。石崎の遺族から500点以上の写生画が福光町に寄贈されたのがきっかけとなり、福光美術館が開設されました。

tel.0763-52-7576
住 南砺市法林寺2010
時 9時~17時(入館は~16時30分)
休 火曜、展示替え期間料
料 常設展300円
P 70台

棟方志功の代表作「二菩薩釈迦十大弟子」、「沢瀉妃の柵」などを収蔵

色鮮やかな花鳥画で知られる石崎光瑤の全作品のうち7割近くを収蔵