2022.10.20

錦秋の美にため息~北陸の紅葉~12連発

錦秋の美にため息~北陸の紅葉~12連発

今まさに、真っ盛りの紅葉を愛でに出かけよう!

春夏秋冬の四季がはっきりしている日本。いずれの季節も見ごたえたっぷりの景観が人々の心を打ち、四季の美しい情景に出会うたび、ああ、日本に育って良かったな、と思う瞬間です。この景色を求めて、海外からも多くの観光客が押し寄せる日本の各地。桜前線同様、紅葉前線もある日本。もちろん、北陸の秋も負けてはいません。
取材の際に出会った紅葉を独り占めにするにはもったいないので、北陸のとっておきの紅葉をご紹介します。見頃はその年の気候や標高などによっても異なりますが、10月下旬から11月上旬がピークでしょうか。今年が都合悪ければ来年があります。紅葉は必ず年1回、私たちを楽しませてくれますので、いつの年でも北陸にお越しください。

兼六園の紅葉

【1.兼六園】

北陸随一の美しい紅葉といえば、兼六園ではないでしょうか。水戸の偕楽園、岡山の後楽園と並び、日本三名園に数えられる名園で、加賀藩前田家の歴代藩主が競いあい180年をかけて造り上げてきた大名庭園です。世界にもその名が知られ、海外からも多くの観光客が訪れ、秋は燃え立つような赤や黄色に魅せられます。紅葉と雪吊りの木々が霞ヶ池の水鏡に移る情景は一幅の絵のよう。秋のライトアップも人気で、趣深い輝きが印象に残ります。

住所:石川県金沢市兼六町1

金沢城公園玉泉院丸庭園の紅葉

【2.金沢城公園 玉泉院丸庭園】

兼六園に隣接する金沢城公園は、加賀藩前田家の居城だった金沢城の跡地を整備したもの。近年、絵図や発掘調査をもとに復元が進められ、橋爪門、橋爪門続櫓、五十間長屋、菱櫓、河北門、鼠多聞などが往時そのままに蘇りました。金沢城の西側にあった玉泉院丸庭園も復元されたひとつで、庭園の背景にある木々が美しく色づきます。金・土曜、祝前日にライトアップされ、明かりや和楽器による演奏の演出が紅葉にも映えて雅な雰囲気を醸しています。

住所:石川県金沢市丸の内1-1

鶴仙渓の紅葉

【3.鶴仙渓:かくせんけい】

石川県加賀市にある加賀温泉郷の一つ、山中温泉。福井県との県境にに広がり、緑濃い山々が四方を囲み、中心部を貫く大聖寺川に沿って景勝地・鶴仙渓が続きます。渓谷沿いに約1.3kmの遊歩道が設置され、個性豊かな3つの橋と四季ごとに彩りを変える渓谷の風景が眼前に迫ります。新緑も素敵なのですが、彩り鮮やかな秋は特に見事。おすすめはこおろぎ橋をからめての紅葉の風景。燃えるようなモミジの赤が橋に生えて和情緒たっぷりです。

住所:石川県加賀市山中温泉下谷町ほか

那谷寺の紅葉

【4.那谷寺】

岸壁がそそり立つ奇岩遊仙峡が境内にある古刹で、今からおよそ1300年前に創建されたそうです。急な崖地の岩場にへばりつくように本殿が築かれており、ほの暗い岩の中を一周して参拝すれば、再生を意味する「胎内くぐり」のご利益があるといわれます。さらに参拝路を進むと、三重塔や展望台などの見どころが続きます。秋には色とりどりの錦繍が岩肌や境内の木々を染め上げ、展望台から眺める奇岩遊仙峡はまるで一幅の絵画のようです。

住所:石川県小松市那谷町ユ122

五箇山の紅葉

【5.相倉合掌造り集落(五箇山)】

四方を山に囲まれ、寄り添うように立ち並ぶ合掌造り家屋。五箇山の相倉合掌造り集落は、平安時代に平家の落人が隠れ住んだ地といわれ、江戸時代には加賀藩の命で火薬の原料となる塩硝を製造。そんな秘境の地であるがゆえに、昭和半ばまでは交通手段が乏しく陸の孤島であり、日本の原風景ともいえる集落が残されたのです。周囲の山々が色づく10月下旬から11月上旬は集落が華やかに彩られ、11月にはライトアップイベントも開催。幻想的な風景が広がります。

住所:富山県南砺市相倉

高岡古城公園の紅葉

【6.高岡古城公園】

城跡を生かした自然豊かな歴史公園。慶長14年(1609)に、加賀2代藩主前田利長が築いた高岡城の跡地を整備したもので、広大な敷地の3分の1を水壕が占め、季節ごとの景観の美しさで知られています。桜をはじめ新緑や紅葉など四季折々の見どころが多く、市民の憩いの場に。秋には水壕のある周辺の紅葉が色を増し、噴水と相まって情緒ある日本美をつくりあげています。水辺に散策路が設けられており、四季の移ろいを感じながら散策できます。

住所:富山県高岡市古城1-9

長慶寺五百羅漢の紅葉

【7.長慶寺 五百羅漢】

富山の呉羽丘陵に位置する長慶寺。境内には五百羅漢がずらりと並び、その姿は厳か。参拝客が絶えない富山市の指定史跡です。山の斜面に何段かに分かれて石灯籠とともに並ぶこの石仏群は、廻船問屋で財を成した豪商、黒牧屋善次郎が先祖の供養のため、寛政11年(1799)に十六羅漢像を寄進したのが始まりとか。その後、50年の間で次々に増えていき、500余りの数になったといわれます。境内にはモミジが多く、黄や赤色に色づく秋は映えスポットに。

住所:富山県富山市五艘1882

庄川峡の紅葉

【8.庄川峡】

世界遺産の五箇山合掌造り集落が上流に位置する庄川。流域の庄川は手つかずの自然が残り、四季折々の自然が織りなす峡谷美を堪能できる絶景の地です。間近で見るには、庄川峡遊覧船に乗船するのがおすすめ。ゆるやかな稜線を描く山々と湖のような静けさの水面、赤・黄・緑の見事なコントラストの山肌が眼前に迫ります。小牧港を発着する約25分の長崎橋周遊コース(1日4便)が手軽。遊覧船については(2022.06.20)でも紹介しています。

住所:富山県砺波市庄川町小牧73-5

国史跡白山平泉寺の紅葉

【9.国史跡白山平泉寺】

石川県、岐阜県、福井県にまたがる標高2702mの白山。福井県側の登拝口に、約1300年前に築かれた白山信仰の拠点寺院の白山平泉寺があります。泰澄が開創したと伝えられ、中世には北陸でも有数の坊院があったと考えられていますが、一向一揆の戦火ですべてが焼失。発掘によって石畳跡などの遺構が発見されています。苔むした境内には現在、復元された拝殿と本社が立ち、1530年ごろに造られた旧玄成院庭園は、広葉樹が色づく秋がおすすめです。

住所:福井県勝山市平泉寺町平泉寺56-63

金崎宮の紅葉

【10.金崎宮:かねがさきぐう】

かつては新田義貞と足利軍が戦を繰り広げた古戦場で、山の中腹にある金崎宮には、城で自害したという恒良・尊良の両親王を祀っています。その後も、朝倉と浅井軍、織田信長と豊臣秀吉と徳川家康など、歴史にも名高い戦国武将たちが戦った場所でもあります。小高い山に立つ金崎宮は見晴らしも良く、春は桜の名所としても有名。境内にはモミジも植えられており、秋は赤や黄色に染まります。境内では、集めた落ち葉をハート型にしている様子が見られるかも。

住所:福井県敦賀市金ヶ崎町1-4

嚮陽庭園の紅葉

【11.嚮陽庭園:きょうようていえん】

鯖江市にある西山公園は約5万株のツツジが咲き誇ることでも有名。西山公園と道路を挟んで向かい側には、およそ170年前に完成した日本庭園の嚮陽庭園が広がっています。幕末に、老中を務めた間部詮勝が作庭した公園であり、池泉式回遊庭園など日本美を随所に配し、紅葉時期は特に鮮やか。日本の歴史公園100選にも選ばれています。丘陵地を切り開いて、上段・中段・下段に分かれて雰囲気や見どころを変えており、上段からの眺めは見事です。

住所:福井県鯖江市長泉寺町1-10

養浩館庭園の紅葉

【12.養浩館庭園】

江戸中期に福井藩松平家の別邸として建てられ、戦時中の福井空襲で建物が焼失しましたが、池を配した庭園が残されていました。平成5年(1993)に絵図や発掘調査を元に建物が復元され、一般公開されています。紅葉の名所としても知られ、9月下旬から色づく木々もあり、11月下旬にかけて長く楽しめるそうです。紅葉シーズンにはライトアップイベントも開催され、明かりに照らされた木々が水面にゆらゆら揺れる幽玄な世界が広がります。

住所:福井県福井市宝永3-11-36