2021.08.20

古民家を利用した工房でアート体験~金沢湯涌創作の森~

古民家を利用した工房でアート体験~金沢湯涌創作の森~

工房見学と自然散策も楽しい交流施設

金沢中心街から車で約15分、湯涌温泉の手前に位置する金沢湯涌創作の森。くねくね道を上ると、うっそうとした森の中にいくつもの古民家の工房が点在しています。 工房の建物は4つ。藍工房、染織工房、スクリーン工房、版画工房です。そのほかに、受付宿泊棟、交流研修棟、ギャラリーなどがあり、屋外には芝生が広がる交流広場や展望広場、さらに展望広場に向かう散策路などが設けられています。

各工房ではそれぞれ本格的な創作活動が行われているほか、初心者講座や初心者でもできる体験プログラム(すべて要予約)も用意されています。また、工房利用者向けの宿泊棟に泊まり、時間をかけて学ぶ滞在型を選ぶこともできます。金沢市の公的な施設であることから、格安な料金で利用できるのも魅力ですね。
交流広場には竹を組んで作ったブランコが2基あり、子どものみならず大人にも人気です。

※コロナ禍の状況で休止中の場合もありますので、事前にお問合せください。

織工房では熟練者も多く、こんな幅広の織物も

藍工房は薬種商を営んでいた旧中屋の土蔵を利用



各工房での体験を楽しみましょう!

各工房は一般体験のほか、愛好者や若手アーティストに利用されています。初心者でも楽しめる体験も実施していますので、ぜひ体験してみましょう。スタッフが丁寧に教えてくれますので、お一人でも、親子でも、グループでも参加でき、思い出づくりに最適。どこにもない、オリジナルの作品も作れます。体験は予約してから出かけましょう。

●紙ドライポイント体験(版画工房)

版画工房の建物は、金沢市本町にあった旧飯田家酒蔵を移築したもので、どっしりとした構えです。工房の1階は版画工房で、年間講座では銅版画や木版画、リトグラフなど、版画の基本から学ぶことができます。
初心者向けの体験は1~2時間でできる、紙ドライポイント(体験1,000円)、消しゴム版画、リノカット版などの体験があります。紙ドライポイント体験は、凹版の紙版画を使う簡単な技法だそうで、前もって描く絵柄を考えておくとよいとのこと。所要時間は約1時間30分。ほかに、銅版に針で模様を描き込む銅版画ドライポイントもあります。
版画工房の2階はギャラリーになっています。酒蔵だった名残のある空間は、各工房利用者の作品展示や貸しギャラリーとして、写真や絵画などさまざまな展覧会が行われています。

酒蔵の土蔵を移築した版画工

版画工房の2階はギャラリー

 

●シルクスクリーン体験(スクリーン工房)

建物は山間部にあった農家で、大正9年(1920)建築の旧宮下家を移築したもの。国の登録有形文化財です。
工房内では、紙や布などに文字や絵柄を施すスクリーン印刷の技法を学ぶことができます。スクリーン印刷とは薄い布を枠に張り、インクを通す箇所と通さない箇所を作って模様を印刷するものです。
体験は普段使いができる巾着(体験1,000円)やミニトート、手ぬぐい、和紙はがきなどにスクリーン印刷を施します。1色の印刷は簡単ですが、色数を増やすとその分何度も塗り足していくので色合いも考えて進めましょう。所要時間は1時間30分~2時間程度。こちらもあらかじめデザインを考えておくとよいそう。Tシャツへの印刷も可能で、技法や枚数など要相談とのことです。

あずまだち、といわれる建築方法の工房外観

スタッフが丁寧に指導してくれるので安心

 

●ミニテーブルセンターを織る体験(染織工房)

染織工房の2階にあるのが織工房です。2日間の初心者基礎コースを受講したあと、本格的な上級者コースへと進むことができます。
約1時間でできる体験は、あらかじめ織りやすいようにたて糸を準備した体験用の台に座ります。よこ糸の色を選び、ミニテーブルセンター(体験1,000円)を織り上げていきますが、初めてでも簡単にできるそうです。
また、10時~16時30分の時間帯で2日間学ぶ入門編もおすすめで、平織りと綾織りのコースがあり、初めての方は平織りからだそう。2日間で平織りを学ぶのもよし、4日間で平織りと綾織りをマスターするのもありです。宿泊棟に泊まって滞在型の体験としてもよいですね。

旧金沢城内の倉庫だった土蔵を移築・改修した染織工房

織機が並ぶ織工房内

 

●ハンカチの藍染め体験(染織工房)

染織工房の1階は染工房。絞り染やろうけつ染、型染などさまざまな技法を学ぶことができます。染織工房のすぐ隣りには、植物の藍の葉から天然染料を作る藍工房があり、工房内の藍がめの中では藍が発酵しているのが見られます。藍染めは、藍の葉を乾燥させたあと、寒冷期に発酵させて作る「蒅(すくも)」を使います。土の中に埋め込んだかめの中に、蒅と発酵のための材料を入れるのですが、藍は温度や湿度によって発酵していないときもあり、そんなときは人工染料を使うことになります。
この藍を使った体験がおすすめで、45㎝角のハンカチ(体験1,000円)を染めます。色を入れない箇所に糸をきつく巻く絞り技法を使いますが、藍に漬けたあとどんな模様になっているのか、糸をほどく時のドキドキ感がありますね。ほかに手ぬぐいやストールなども。
春~夏、染織工房の前には植物の藍が育てられているので、見ておきたいですね。

藍工房の藍がめに糸を巻いたハンカチを漬けて染めます

ハンカチの絞り染めの模様はどれひとつ同じものがありません

 

金沢湯涌創作の森

かなざわゆわくそうさくのもり

TEL:076-235-1116
住所:石川県金沢市北袋町ヱ36
時間:9:00~17:00(工房により異なる)
休日:火曜(祝日の場合は翌平日)、年末年始 駐車場:100台
URL:湯涌創作の森 (sousaku-mori.gr.jp)