2020.05.05

独特の情感を醸す美人画で一世風靡 ~金沢湯涌夢二館~

独特の情感を醸す美人画で一世風靡 ~金沢湯涌夢二館~

大正ロマンを代表する叙情あふれる画家

美人画で知られる詩人画家、竹久夢二は明治17年(1884)、岡山県に生まれました。独学で絵の世界に入り、数え年18歳で上京。雑誌などに寄稿することから始め、画家やグラフィックデザイナーなど、大正時代に幅広く活躍。上目使いではにかむきゃしゃな女性や憂いのある表情としなやかなしぐさの女性など、独特の美人画が目を引いた人気作家でした。

夢二は美人画ばかりではなく、本の装丁や挿絵の制作、商品パッケージやラベル、便せんや封筒、祝儀袋、半襟や浴衣柄などのテキスタイルデザインも手がけました。51歳で亡くなるまで、詩や挿絵などを描いた著書57冊も発表しています。 夢二は画壇には属さず、ヨーロッパの雑誌や美術書から時代を読み取り、常に自分らしい個性や感性を磨いていたそうです。

ここ金沢湯涌夢二館では、今の時代でも色あせない、むしろ先端を感じる夢二のデザイン画や美人画などを企画展示。金沢湯涌温泉はかつて夢二が滞在した地でもあり、常設展示では夢二を取り巻く3人の女性を軸に、人となりも紹介しています。

竹久夢二の年表を展示するエントランス

1階常設展示室の入口。2階は企画展示室になっています

竹久夢二のデザインを利用したグッズを販売するショップ

夢二と3人の女性をクローズアップ

夢二と金沢の縁は、妻のたまきが金沢出身であったこと、その後付き合った笠井彦乃と金沢湯涌温泉に滞在したこと、彦乃の死後に同居したお葉(佐々木カ子ヨ)が病気療養のため金沢の深谷温泉に滞在していたことなどがあります。そんな金沢を舞台に、夢二が3人の女性と関わりあったことにちなみ、「金沢湯涌夢二館」が設立されました。1階常設展示室では、この3人の女性に焦点をあてて紹介しています。

夢二の妻、岸たまきは明治15年(1882)に金沢市に生まれ、18歳で他家に嫁ぎ2人の子をもうけましたが、5年後に未亡人に。たまきは2人の子を残して上京し、絵はがき屋を開店。そこに夢二が訪れたことでたまきを見初め、美人画のモデルとなった女性でした。夢二23歳、たまき25歳で結婚。翌年男の子が生まれましたが、性格があまりに違いすぎて2年後に協議離婚したそうです。その後も会い続けていた夢二とたまきは、次男、三男と合わせて3人の子をもうけています。その後の夢二の恋についても詳しく紹介していますので、ぜひ訪れてみてください。

夢二が結婚したのは「たまき」だけ。3人の息子に恵まれました

25歳の若さで命を閉じた「彦乃」は永遠の恋人といわれています

大正8年ごろから「お葉」が夢二の美人画のモデルになりました

当館オリジナルのカードケースやブックカバーなども販売

金沢湯涌夢二館

かなざわゆわくゆめじかん

TEL:076-235-1112
住所:石川県金沢市湯涌町イ144-1
時間:9:00~17:30(入館は17:00まで)
休日:無休(展示替え期間は休館)
料金:入館310円
駐車場:12台(温泉街の入口)