2019.11.05

名建築で哲学の世界を体験~西田幾多郎記念哲学館~

名建築で哲学の世界を体験~西田幾多郎記念哲学館~

日本を代表する哲学者、西田幾多郎

日本で最初の哲学書である『善の研究』を著した西田幾多郎。その名を聞くと、京都の銀閣寺近くにある「哲学の道」を思い浮かべる方も多いかもしれません。京都大学の教壇に立ち、「西田哲学」とよばれる独自の体系を築き上げた彼のふるさとは、ここ石川県。美しい日本海に面したかほく市に生家跡があります。『善の研究』のもとになったのは、旧制第四高等学校(現在の金沢大学)で教鞭をとっていた頃に書いた論文や講義ノートだといわれています。

彼の生家は代々庄屋を務めた豪農でしたが、父の破産や肉親の死など、その人生には多くの苦難がありました。哲学の道を追求する彼の大きな原動力となったのは、苦境や孤独、悲哀だったのかもしれません。金沢から足をのばして、思索に明け暮れた偉大なる哲学者の原点を訪ねてみましょう。

ゆっくりと思索しながら建物を巡る

西田幾多郎のふるさと、かほく市にある「西田幾多郎記念哲学館」は、哲学をテーマにしたミュージアム。

哲学を分かりやすく学べる入門コーナーから、愛用品や書簡などとともに西田博士の生涯や業績を紹介する展示室まで、じっくりと哲学の世界を体感することができます。

《展示室1》哲学へのいざない
導入部となる展示室1では、円や井戸をモチーフに哲学について解説

《展示室1》哲学へのいざない
西田幾多郎をはじめ、世界の哲学者の言葉を紹介している

《展示室2》西田幾多郎の世界
遺品や原稿などから西田幾多郎の人柄をうかがい知ることができる

《展示棟地下1階》
空の庭に続く通路には西田幾多郎の書を展示

《映像室》
ビデオ室では彼の生涯を分かりやすく紹介

《図書室》
西田幾多郎に関する書籍や哲学の専門書などを集めた図書室

このミュージアムは、建築を見ることも楽しみのひとつ。
設計は世界的建築家・安藤忠雄氏。コンクリートとガラスを組み合わせたモダンな建物は「考えること」をコンセプトとしており、来館者を哲学の世界へいざなう仕掛けが随所に施されています。例えば駐車場から建物へと向かう「思索の道」、そして四方をコンクリートの壁で囲まれた空間で空を仰ぐ「空の庭」。

自然を感じ、建物を味わいながら過ごすうちに、自然と何かを考えている自分に気付くはず。館内の動線もあえて迷路のようになっており、迷い、考えるという哲学の世界を体現しているかのようです。

《空の庭》
展示室を巡り、最後に訪れる「空の庭」。空のほかには何もない空間

《ホワイエ》
円形の天窓から自然光が差し込むホワイエ。静かな空間が心地よい

《書斎》
記念館の屋外には、西田幾多郎書斎「骨清窟(こつせいくつ)」が移築保存されている。国登録有形文化財

日本海まで一望できる展望ラウンジや見晴らしの良いカフェのある哲学ホール棟は、無料で利用が可能。市民にも親しまれており、散策途中に気軽に立ち寄る人も多いそう。

美しい建築とすがすがしい眺望、そして肌で感じられる身近な哲学が、気持ちをすっきりとリフレッシュさせてくれます。

《展望ラウンジ》
宝達山や河北潟、日本海まで一望のもとに見渡すことができる

《喫茶テオリア》
地元産ブルーベリーを使ったサンデー350円とアイスティー250円

また、日没後は建物や周辺のライトアップが行われており、ロマンチックな灯りに彩られた館を訪れるのもおすすめです。
(ライトアップは日没~21:30、休館日は除く)。

西田幾多郎記念哲学館

にしだきたろうきねんてつがくかん

TEL:076-283-6600
住所:石川県かほく市内日角井1
時間:9:00~21:00(展示室は~17:30、入館は各30分前まで)
休日:月曜(祝日の場合は翌日)、12月29日~1月3日
料金:入館(展示室)300円、展望ラウンジなどの哲学ホール棟は入館無料