2019.11.20

粋なお茶屋が今も残る~ひがし茶屋街~さんぽ

粋なお茶屋が今も残る~ひがし茶屋街~さんぽ

洗練された花街で和の情緒を満喫

金沢市を一望する標高約141mの卯辰山。その山裾に位置するひがし茶屋街は、もっとも金沢らしい情緒を残す界隈のひとつで、今でも「一見さんお断り」の格子戸のお茶屋が点在しています。花街としての始まりは文政3年(1820)で、加賀藩公認の茶屋街でした。格式の高さや洗練された芸は、京都の祇園と並ぶほどで、金沢の三茶屋街のなかでも格上とされていました。

茶屋街を歩くと、出格子の木造住宅が軒を連ねています。ここは、国の重要伝統的建造物群保存地区に選定されていますが、現在はほとんどがショップなどに利用されています。ただ、夜になると軒先の提灯にぽつぽつと灯りが入り、芸妓さんとすれ違うことも。三味線や太鼓の音も漏れ聞こえ、花街の雰囲気が伝わります。

ひがし茶屋街スポット10選

ひがし茶屋街では、かつてのお茶屋を観光用に公開している箇所もあり、ぜひとも見学したいですね。また、空き家になっていたお茶屋や古民家などをリノベーションし、町家カフェや和雑貨店、食事処などが軒を連ねています。情緒ある建物とともにゆっくり楽しみましょう。

志摩(しま)

ひがし茶屋街の始まりとともに建てられたお茶屋。国指定重要文化財であり、往時そのままに保存・公開しています。ここは、江戸時代に大店の旦那衆などが、芸妓さんの舞や三味線などの遊芸を楽しんだ場所で、大人の社交場ともいえます。芸妓さんが舞などを披露する客間は2階にあり、壁は鮮やかな朱色。座敷に座ったお客の正面に、襖を挟んでひかえの間があり、ここが芸妓さんの舞台となります。1階には実際に芸妓が使ったかんざしなどの展示もあり、往時の意匠に目を奪われます。お抹茶(上生菓子付き700円)がいただける茶室を併設。
TEL:076-252-5675 / 住所:金沢市東山1-13-21 / 時間:9:30~17:30(12月〜2月は〜17:00) / 休日:無休 / 料金:入館500円

お茶屋美術館(おちゃやびじゅつかん)

藩政時代に建てられたお茶屋、旧「中や」をお茶屋の美術館として公開。2階が客間で座敷は朱色の弁柄の壁ですが、見どころは離れ。お茶席などに使われ、鮮やかな群青色の壁の離れは必見です。1階には、芸妓さんの黒髪を飾った金、銀に赤い珊瑚を散りばめた髪飾りや、お茶屋で使われた加賀象嵌、加賀蒔絵を施した優美な道具類を多数展示。金沢市指定文化財。
TEL:076-252-0887 / 住所:金沢市東山1-13-7 / 時間:9:30~16:30 / 休日:木曜 / 料金:入館500円

懐華樓(かいかろう)

金沢ではもっとも大きな茶屋建築。築約200年の風格を誇り、昼は内部を公開しています。また、夜は一見さんお断りのお座敷を上げています。館内は、朱塗りの大階段や金箔で織られた畳の茶室など華やかな雰囲気。毎日、10時から1時間ごとにスタッフによる建物見学ガイドも実施。館内にはショップやカフェも併設しており、金箔を1枚贅沢にのせた黄金くずきりと見学のセットは1,850円。
TEL:076-253-0591 / 住所:金沢市東山1-14-8 / 時間:9:00~17:00(変動あり) / 休日:不定休 / 料金:入館見学のみは750円、お抹茶と見学は1,250円

箔一 東山店(はくいち ひがしやまてん)

日本で初めて金箔打紙製法であぶらとり紙を商品化した金箔専門店・箔一のアンテナショップ。10cm四方の金箔1枚を贅沢に巻き付けた金箔ソフトクリームはこの店の名物。おみやげには、金澤あぶらとり紙をはじめ、金箔入りリップグロスや金箔入り入浴剤、金沢箔で立体的に描いた花見鳥金澤お針箱13,200円(写真)など、数ある金箔グッズが人気です。金箔が、角質層まで美容成分が浸透するのをサポートする金箔コスメシリーズ「KINKA」もおすすめ。
TEL:076-253-0891 / 住所:金沢市東山1-15-4 / 時間:9:00~18:00 / 休日:無休

かなざわ 美かざり あさの(かなざわ びかざり あさの)

金箔専門店・箔一がプロデュースする伝統工芸のセレクトショップ。九谷焼や加賀友禅、加賀繡、加賀指ぬきなど、見た目もかわいく、普段使いしやすい機能的な商品がそろっています。新進作家の1点ものの商品も多く、商品には作家や作品の説明などもあり、親切なディスプレイになっています。店舗2階の体験処では、姫手鏡1,500円や小物入れ1,500円、丸形トレー1,800円などに施す箔貼り体験が楽しめます。
TEL:076-251-8911 / 住所:金沢市東山1-8-3 / 時間:9:00~18:00(体験は10:00~15:00受付) / 休日:火曜(祝日の場合は営業)

玉匣(たまくしげ)

石川県ゆかりの、若手アーティストのセンスあふれる作品がそろうコンセプトショップ。「アートと暮らし」をテーマに、加賀水引や九谷焼、漆芸、金工などさまざまな伝統工芸品が集められています。人気は、九谷焼作家の浅蔵一華さんの手びねり一口湯呑3,080円で、幾何学模様のモダンなデザイン。珍しいところでは、畳職人が制作するタタミカードケース650円があり、色柄も斬新。店奥にはジュエリーショップも併設しています。
TEL:076-225-7455 / 住所:金沢市東山1-14-7 / 時間:10:00~17:00 / 休日:火曜(祝日の場合は営業)

パンケーキ

fluffy(フラッフィー)

かつてのお茶屋をリノベーション。ひがし茶屋街の奥まった場所にあるが、パンケーキ好きの金沢女子ならだれでも知っているパンケーキの専門店。スイーツ系や食事系から選べるパンケーキは7種。地元産の卵や加賀棒茶を使用するなど地元食材にもこだわっています。人気のほうじ茶パンケーキ1,000円(写真)は、加賀棒茶を練り込んだ生地で香ばしく、黒糖で煮含めた金時豆と生クリーム付き。軽くてコクを含んだふわふわ食感を味わえます。
TEL:076-225-8312 / 住所:金沢市東山1-23-10 / 時間:9:00~16:30LO(第2・4金曜は13:00~) / 休日:月曜、第1・3・5金曜

レストラン自由軒(じゆうけん)

ひがし茶屋街の芸妓衆にも愛される洋食レストラン。明治42年(1909)創業と歴史は長く、ケチャップを使わないしょゆベースご飯が特徴のオムライス825円が名物です。ほかにもメニューは豊富にあり、なかでも筆者のおすすめは、国産和牛と特製タレのビフテキ丼1,584円(写真)、茹でたキャベツとキュウリの下に隠れた牛ヒレカツがユニークな昔のカツ丼1,518円、ミニオムライスとクリームコロッケ、サラダのプレートセット1,111円など。
TEL:076-252-1996 / 住所:金沢市東山1-6-6 / 時間:11:30~15:00LO、17:00~21:00LO(土・日曜、祝日は16:30~) / 休日:火曜、第3月曜(祝日の場合は営業)

森八ひがし三番丁店(もりはちひがしさんばんちょうてん)

江戸時代から続く和菓子の老舗、「森八」が手がける和喫茶&ショップで、文政年間(1818~1830)に建てられた町家を利用しています。静かな坪庭に面した喫茶では、お抹茶・上生菓子セット800円(写真)や、あんみつ1,000円などが味わえます。ショップでは、和三盆を使う銘菓「長生殿」をおみやげに。口の中ですっととける上品な甘みがお茶請けにぴったりです。店舗2階では、落雁手作り体験も開催しています。
TEL:076-253-0887 / 住所:金沢市東山1-13-9 / 時間:10:00~17:00 / 休日:無休(元日は休み)