2019.10.20

文学のまち「金沢」の超個性派書店&ブックカフェ

文学のまち「金沢」の超個性派書店&ブックカフェ

旅先で、運命の1冊に出会う

金沢は泉鏡花、徳田秋聲、室生犀星の三文豪をはじめ、多くの有名作家を輩出した「文学のまち」でもあり、また金沢は昔ながらの美しい情景が残ることから、数々の小説の舞台にもなっています。

最近金沢で静かなブームとなっているのが、個性的な書店めぐり。

大手の書店進出やインターネット販売などで、昔ながらの町の本屋さんは減っていてちょっぴりさみしい気もしますが、今回は、本好きにはたまらない魅力がたっぷりの本屋&ブックカフェを紹介します。

個性的な書店&ブックカフェ8選

金沢には、ここにしかない店や、ここでしか出会えない本がたくさんあります。新しい旅の楽しみ方として、旅先でこそ訪れたい古本屋とブックカフェをご紹介します。

◇山鬼文庫(さんきぶんこ)

千葉県で学芸員を務め、金沢美術工芸大学で教鞭をとった店主が、退職後に開いた私設図書館です。店名は、店主の姓が森なので、木が3つで「さんき」と呼べることが由来だそう。築100年を超える金沢町家の店舗はもと料亭で、大きな窓の外に浅野川の流れが望める抜群のロケーション。店主が前職で集めた、近現代美術史、工芸史、デザイン史や展覧会の図録、画集が豊富で蔵書は2万冊以上。カフェメニューを注文すれば、自由にそれらの本を読むことができます。また、2階のギャラリーでは店主がこれまでの経験を生かし、定期的に所蔵品やアーティストの企画展を実施(観覧無料)しており、こちらも見ごたえ充分です。

TEL:076-254-6596
住所:金沢市桜町5-27
時間:10:00~19:00
休日:火・水・木曜
駐車:3台

店内には幅広いジャンルの本がぎっしり

格子戸がある昔ながらの木造建物は風情たっぷり

東出珈琲のイタリアンブレンド400円で一服

◇古書Duckbill (こしょだっくびる)

周囲を山々に囲まれた深谷温泉のさらに奥、のどかな里山に佇む古い古民家が古書Duckbillです。福岡で生まれ、東京で暮らしていた店主が「古本屋を始めよう!」と決め、旅で一度訪れたことがあった金沢に移り住んだのが約20年前。当初は市内中心部に店を構えていましたが、手狭になったため現在地に移転。ネット販売を中心に、さまざまなジャンルの古書を扱っています。まるで田舎の親戚の家に遊びに来たような雰囲気のなか、宝探しをする気分でお気に入りの1冊を探せます。

TEL:076-214-5950
住所:金沢市福畠町ヌ103
時間:10:00~18:00
休日:火・水曜
駐車:なし

古民家の座敷に興味深い本がずらり

居間にも本が積み上げられるている

分かりにくい場所にあるため、電話確認した方が無難

◇近八書房 (ちかはちしょぼう)

初代近岡屋八郎右衛門が「近岡屋」を創業したのは江戸時代の寛政元年(1789)。2代目が現在の金澤表参道(横安江町商店街)の入口に店を移し、金沢のまちとともに歩んできました。商店街は真宗大谷派金沢別院の門前町として栄えたことから、仏教書の販売を中心に、俳書や謡本の出版も手掛け、昭和に入ってからは古書販売を専業としてきました。近年は新幹線開業を契機に外国人観光客が急増し、伝統工芸に関する本や浮世絵などが喜ばれています。現在店を切り盛りするのは7代目の店主。「堅いイメージを払しょくしたくて一般の人も楽しんでもらえる本を増やしました」と語る店主と、気軽に本談義を交わしたい古書店です。

TEL:076-231-6148
住所:金沢市安江町1-11
時間:10:00~19:00
休日:火曜、第2・4金曜
駐車:なし

仏教関連の本が多いことでも知られている

浮世絵や懐かしいCDなども置いている

店頭の百均文庫本から貴重な郷土史料まで幅広い品揃え

◇zuiun 金沢店 (ずいうん かなざわてん)

zuiunは、「衣食住のすべてにかかわる」ことをコンセプトに、建築会社がプロデュースするライフスタイルショップです。家具や雑貨、衣類などを取り扱う店舗の地下がブックカフェで、豆腐工場だった古い建物をリノベーションした半個室スタイルが新鮮。本のセレクトはブックソムリエが担当し、デザイン関係の本を中心に、旅本や小説、石川県にまつわる本、絵本など2500冊以上がずらり。カフェメニューでは本格的なコーヒーやラテ、自家製のジンジャーが人気で、16時からはフードメニューも登場します。

TEL:076-243-5506(ダイニング・カフェ)
住所:金沢市泉本町4-17
時間:11:00~22:00(土・日曜、祝日は10:00~)
休日:火曜(祝日の場合は営業)
駐車:35台

地階にあるブックカフェにはたくさんの本が並ぶ

Zuiunの1階はスタイリッシュなショップ

1階ではランチ1,200円~も食べられる

◇NYANCAFE‐BOOKS (にゃんかふぇ ぶっくす)

加賀藩前田家ゆかりの寺社が並ぶ「小立野寺院群 いし曳きの道」の勘太郎川ルートにあり、散策の途中に立ち寄りたい古本屋&カフェです。猫と本が大好きな女性オーナーが、自宅で始めたスペースは、ご近所さんが自宅のリビング代わりに友人を連れて訪れるというのも頷ける居心地のよさ。店名にたがわず猫関連の書籍が充実しており、店主秘蔵の非売品も並びます。オーナーが心を込めてつくった自家製のドリンクやケーキでくつろぎつつゆったりと本を選びたい古書店です。

TEL:076-221-3644
住所:金沢市石引2-23-14
時間:10:30~19:00
休日:月・火曜
駐車:2台

猫の絵本なども充実している

自家製ジンジャー350円、本日のケーキ250円

住宅街の中にあるので見つけにくいかも

◇石引パブリック (いしびきぱぶりっく)

東京で長らくグラフィックデザイナーとして活動してきた女性店主が、帰郷後に開いたブックストア。新刊と古書の両方を取り扱い、写真集やデザイン関係の書籍など、アートやカルチャーをテーマとした書生を数多く揃えます。セレクトの基準は「生活の中で何かを表現したいときにインスピレーションを与えてくれるもの」で、ディスプレイもデザイナーならではのセンスのよさが光ります。カフェスペースやオーナーが手がけるリソグラフ印刷のブースも併設。

TEL:076-256-5692
住所:金沢市石引2-8-2 山下ビル
時間:13:00~19:00
休日:日・月曜
駐車:1台

月に1回程度だが、読書会などのイベントも開催している

書店が位置する石引通りの近くには金沢美術工芸大学がある

コーヒー350円と季節のデザート300円は、セットで570円

◇オヨヨ書林 せせらぎ通り店 (およよしょりん せせらぎとおりてん)

大正時代には鉄工所として使われていたレトロな建物を利用した古書店です。広々とした店内は、天井まで届く棚にびっしりと本が並び、本好きにはたまらない空間。販売される古書は「よい本を、安く、手軽に」をモットーにセレクトされたもので、オールマイティな品揃えが魅力です。観光地に近い場所とあって旅の途中にふらりと訪れる客も多く、持参した本を売って新しい本を購入するといった利用方法も。徒歩で15分ほどの距離には姉妹店の新竪町店もあります。

TEL:076-255-0619
住所:金沢市長町1-6-11
時間:11:00~19:00
休日:月曜(祝日の場合は営業)
駐車:なし

その時代背景が見えてきそうな古本がうず高く並ぶ

文庫本のオールドブックコーナーも充実している

味のあるレトロな2階建ての建物が目印

◇古本屋あうん堂 (ふるほんやあうんどう)

「コーヒーも飲める古本屋」というスタイルで、地元人に絶大な人気を誇る書店&カフェ。本が好きで、本と同じくらいに人との出会いが好きな店主と、カフェメニューを担当する奥様があたたかく客を迎えてくれます。靴を脱いで上がる町家の店舗は北欧風のインテリアが調和し、長居も必至の心地よさ。「1冊1冊の背表紙にも物語がある」と語る店主のセレクト眼が光る書籍は、映画、旅行、ライフスタイルまで幅広く、ふらっと立ち寄るだけでも充実した時間を過ごせます。

TEL:076-251-7335
住所:金沢市東山3-11-8
時間:10:30~19:00
休日:火・水・木曜
駐車:2台

暮らしを楽しむ本を中心にセレクトした本が並ぶ

落ち着いた雰囲気の店内で読書とティータイムを

コーヒー400円。手作りのチョコレート400円も