2019.10.05

金沢から建築文化を発信~谷口吉郎・吉生記念金沢建築館~

金沢から建築文化を発信~谷口吉郎・吉生記念金沢建築館~

金沢のまちづくりの源流、谷口吉郎氏

 近年、建築めぐりを旅のテーマに金沢を訪れる人が増えています。注目を集めているのは金沢21世紀美術館や鈴木大拙館、金沢海みらい図書館といったモダンで斬新な建築。しかし金沢のまちの魅力は、こうした現代建築だけではありません。金沢が建築のまちとして魅力的であるのは、伝統的な建築や町並みが大切に保存されつつ、そこに新しさが上書きされてうまく共存している点にあります。成巽閣や尾山神社といった加賀藩前田家ゆかりの建築物をはじめ、情緒豊かな茶屋街、城下町の歴史を伝える武家屋敷跡など、あちらこちらに点在する歴史の記憶が、このまちの豊かさと奥深さを感じさせてくるのです。

 こうした金沢のまちづくりの礎を築いたのが、東宮御所などを設計した金沢市出身の建築家・谷口吉郎氏です。彼は伝統的な町並みを保存しながら新しい開発を進められるように「金沢市伝統環境保存条例」制定に尽力し、現在のような新旧の建築や文化がまるでモザイクのように混在する美しいまちへと発展するきっかけを作りました。

谷口親子の建築思想が上質な空間に

 重要伝統的建造物群保存地区の寺町寺院群のはずれ、吉郎氏の住まい跡に2019年7月にオープンした「谷口吉郎・吉生記念金沢建築館」。自治体が設置する建築・都市に関する施設としては全国初となります。設計は吉郎氏の長男で、同じく世界的建築家として知られる谷口吉生氏。

 寺町の通りに面して明るいガラス張りのラウンジが設けられ、2階と地下1階に展示室が設けられています。2階の常設展示室には、吉郎氏の代表作でもある迎賓館赤坂離宮和風別館「游心亭」を再現。現地での採寸を繰り返し、同じ建材を使って忠実に再現されています。広間からは池に見立てた水庭を望み、その向こうには犀川の流れ。吉郎氏が愛した風景が広がります。「游心亭」は海外の賓客をもてなす場であり、茶室に立礼席を備えているのもそのため。匠の技を生かした日本建築の粋を、ここで見ることができます。

 地下1階の企画展示室では、年2回程度の企画展示を開催。建築や都市に関わるテーマを、分かりやすい展示で紹介します。ラウンジは無料で利用ができ、カフェとミュージアムショップも併設。寺町散策の途中に、気軽に立ち寄ってみてはいかがでしょうか。

1階エントランス・ラウンジ

自然光があふれる1階ラウンジは、自由に出入りができる。

地下企画展示室

地階にある企画展示室では見ごたえのある特別展示を展開。

游心亭

和の晩餐室ともいわれる「游心亭」。細部まで凝った意匠が美しい。

水庭

広間から眺める水庭。水鏡に映る木々も四季折々に風情豊か。

茶室

立礼席を設けた茶室。網代天井など伝統の職人技が光る。

カフェ

カフェでひと息。クリーミーな泡をのせたドラフトアイスコーヒー500円。

谷口吉郎・吉生記念金沢建築館
たにぐちよしろう・よしおきねんかなざわけんちくかん

TEL:076-247-3031
住所:石川県金沢市寺町5-1-18
時間:9:30~17:00(入館は~16:30)
休日:月曜(祝日の場合は翌平日)
料金:常設展300円(特別展は別途料金の場合あり)
駐車場:なし