老舗和菓子店「森八」に伝わる木型
石川・金沢は全国の中でもお菓子の消費量が常に上位にランクされています。かつて、加賀藩前田家が幕府に対して反逆心がないことを裏付けるため、茶の湯や能楽、季節の祭りなど、文化面に力を入れたことがそもそものきっかけでした。
金沢を代表する和菓子店、森八の創業は寛永2年(1625)。明治44年(1911)に中宮家が引き継いで100年以上が経っています。加賀藩前田家のお抱えの和菓子店として、長きにわたり金沢の菓子文化を築き上げてきた老舗です。看板商品でもある落雁「長生殿(ちょうせいでん)」は日本三大名菓のひとつといわれ、これは加賀藩3代藩主前田利常の命で作られ、茶人・小堀遠州が名付けた由緒あるお菓子なのだとか。
森八本店に併設する「金沢菓子木型美術館」では、そんな江戸時代から受け継がれてきた菓子の木型を見ることができます。館内には、大小1000点以上の木型が時代ごとに並び圧巻。サイズやデザイン、使用する菓子の種類など多彩で、鶴や亀、季節の花々などのさまざまな木型があります。ひときわ大きな鯛の木型もあり、これは金沢のひな祭りに飾られる金花糖のもの。加賀百万石の菓子文化の奥深さが味わえます。