2019.05.05

幾重にも漆を塗り重ね、用の美を追求した輪島塗

幾重にも漆を塗り重ね、用の美を追求した輪島塗

堅牢優美な輪島塗を支える分業制

 深みのある艶と温もりのある手触り。能登半島北端の輪島で作られる輪島塗は、漆器の最高峰ともいわれる伝統工芸品です。輪島塗の歴史は古く、現存する最古の輪島塗として知られているのは輪島市内にある重蔵神社本殿の朱塗扉。こちらは室町時代の作といわれています。江戸時代になると全国へと販路を拡げ、丈夫で長持ちする輪島塗の名声を高めていきました。輪島塗の特徴は堅牢さと優美さ。つまり実用性と美しさを兼ね備えた漆器であるということ。傷みやすい縁などを補強する「布着せ」、輪島市で産出する「地の粉」を用いた下地づくりによって強度を高め、漆を塗り重ねた美しい艶の上に沈金や蒔絵といった緻密な加飾をほどこします。こうした工程は木地、塗り、加飾など100を超え、それぞれ専門の職人による完全分業制となっていることも大きな特徴。専門性を高めることで品質を追求し、世界に誇る輪島塗を受け継いできたのです。
 手間と時間をかけて作られ、使い込むほどに美しく、修理や塗り直しをしながら何代にもわたって使い続けられる輪島塗。近年はモダンな暮らしに合う作品も多くなってきました。輪島塗のふるさと輪島市にある「輪島塗会館」の1階は、市内60店舗あまりの漆器店が共同出店する輪島塗専門のショップで、各工房の漆器を見比べながら選ぶことができます。2階は資料展示室(入館300円)になっており、輪島塗の歴史をはじめ、制作道具や国指定有形民俗文化財の輪島塗作品も多数保有・展示しています。●石川県輪島市河井町24-55 ☏0768-22-2155

輪島塗会館1階ではお気に入りがきっと見つかる

輪島塗会館2階の展示室、ずらり並ぶ椀の工程見本

金沢で輪島塗を購入するならこちら

◆ 石田漆器店 ◆
金沢市中心部の繁華街、片町にある漆器専門店。明治2年(1869)創業の老舗で、伝統の輪島塗をはじめ、きらびやかな加賀蒔絵が美しい金沢漆器、木目を生かした山中漆器など、石川県内に受け継がれる漆器を中心とした品揃え。カトラリーやフリーカップなどお土産にしたい気軽な漆器から作家ものの器まで多彩な商品が並びます。輪島塗のペンダントやブローチなど、贈り物にぴったりの逸品も。手入れの方法なども丁寧に教えてくれます。

夫婦椀(2客1セット)3万1,320円、溜塗かんざし29,160円など

弁当箱1,512円~など気軽な商品も多い

《ショップ情報》
TEL:076-261-2364
住所:金沢市片町1-7-21
時間:10:00~19:00
休日:水曜

◆ 能作(のさく) ◆
安永9年(1780)に初代が漆の商いを始めて以来、漆の製造販売を行う老舗。金沢市役所のそばにある店舗では、輪島塗や金沢漆器などを販売。箸やカップといった日常の暮らしの中で気軽に使いたい漆器から、重箱や茶道具、調度品まで幅広く揃えています。店内では蒔絵体験(料金3,240円、要予約)もOK。4階には漆器で甘味をいただけるカフェ「漆の実」を併設しており、ゆったりとティータイムを楽しめます。

輪島塗の曙ぼかしカップ(1客)15,120円

1階は気軽な漆器小物、2階は輪島塗や山中漆器を展示販売

《ショップ情報》
TEL:076-263-8121
住所:金沢市広坂1-1-60
時間:10:00~19:00
休日:水曜(祝日の場合は営業、8月は不定休)

◆ 創作漆器わこう ◆
金沢駅構内にあり、みやげにぴったりの手頃な漆器が数多く揃います。美しい木目の椀や、カラフルでスタイリッシュなデザインのカップなど、温もりのある漆器が普段の食卓に彩りを添えてくれます。輪島塗の箸の品揃えが豊富で、優美な蒔絵のデザインもさまざま。輪島塗のボールペンも、大切な人への贈り物や自分へのごほうびにおすすめです。帰りの電車に乗る前に、ゆっくりみやげ選びを楽しめます。

輪島塗に蒔絵を施したチョーカー

金沢駅構内にあるショップなので便利

《ショップ情報》
TEL:076-260-3775
住所:金沢市木ノ新保町1-1 金沢百番街あんと内
時間:8:30~20:00
休日:無休

◆ アンティーク山屋 ◆
ひがし茶屋街にあるアンティークショップ。築200年のお茶屋の建物を利用した店内に、輪島塗をはじめとする漆器や九谷焼、バカラや陶磁器などの西洋アンティークが並びます。じっくり探していると、運命の出会いがありそう。

店内には輪島塗の骨董品も並ぶ
(写真はイメージ)

《ショップ情報》
TEL:076-251-2515
住所:金沢市東山1-13-20
時間:11:00~17:00
休日:木・金曜

◆ 上坂 ◆
金沢駅構内にある和小物のショップ。金沢伝統の桐工芸をはじめ、金箔や古布を使った雑貨、アクセサリーなどの金沢土産が揃います。なかでも人気が高いのが輪島塗の箸。お気に入りを組合せて箱詰めしてもらうこともできます。

梅柄の輪島塗の箸

《ショップ情報》
TEL:076-260-3748
住所:金沢市木ノ新保町1-1 金沢百番街あんと内
時間:8:30~20:00
休日:無休




 

輪島塗など現代工芸を感じる品揃え。
ひがし茶屋街のセレクトショップ。

輪島塗など、石川県には多くの伝統工芸品が今も息づいています。これらをセレクトした店が、ひがし茶屋街に2軒あります。「金澤しつらえ」は人間国宝から新進気鋭の作家まで、現代の工芸シーンをリードする作品を集める本格的なギャラリー・ショップです。また「美かざり あさの」は”かわいい”をテーマに女性目線で日常使いできる作品を扱う、カジュアルな工芸セレクトショップです。いずれも、現代の工芸の魅力を存分に感じられるお店です。

金澤しつらえ
金沢市東山1-13-24
TEL:076-251-8899

かなざわ 美かざり あさの
金沢市東山1-8-3
TEL:076-251-8911