2018.06.20

前田家奥方の華麗なる屋敷、成巽閣

前田家奥方の華麗なる屋敷、成巽閣

13代藩主の母のための優美な居宅

兼六園に訪れたなら併設して立つ「成巽閣」にぜひ立ち寄ってみましょう。成巽閣は、加賀前田家13代・前田斉泰が、母・隆子(真龍院)の隠居所として、文久3年(1863)に造営したもので、明治3年(1870)まで母・隆子(真龍院)はここで過ごしたそうです。 加賀の工人だけで造り上げた見事な御殿は、敷地約6610平方メートル、建坪約990平方メートル。一つの建物に武家書院造りと数寄屋風書院造りを取り入れ、各所にさまざまな工夫を凝らしており、女性が暮らすことを意識した優雅な空間が広がっています。

優雅な意匠が随所に垣間見える

雅な大邸宅の内部は優雅な意匠が随所に散りばめられており、見ごたえたっぷりです。まずは「謁見の間」では、色鮮やかな花鳥の彫刻欄間が目を引きます。ヒノキの一枚板を両面透かし彫りしたもので、赤い椿やブルーの極楽鳥が印象的です。「松の間」では、オランダ渡来の硝子絵、雪見障子が見どころで、描かれた小鳥の絵に注目。また、「蝶の間」に面している、柱が1本もない約20メートルの「つくしの縁」も必見です。 格式のある武家書院造りの1階から、数寄屋風書院造りの2階へ上がるとあるのが「群青書見の間」です。壁は紫色、床の間は黒色、天井は色鮮やかな群青の中に杉板を柾目で互い違いに張った斬新なデザイン。その細工や色使いに目を奪われます。 館内には伝来の調度品や衣装、人形なども展示しており、往時が偲ばれます。

障子にはめ込まれたギヤマンがある『松の間』

ギヤマンに焼き付けで描いた優雅な小鳥

庭を眺める際、さえぎる柱がない『つくしの縁』

色のコントラストが独特の群青書見の間

屋敷内には展示されている伝来の品々

亀の間から見た万年青の緑庭園

成巽閣
せいそんかく

TEL:076-221-0580
住所:石川県金沢市兼六町1-2
時間:9時~17時(入館は16時30分まで)
休日:水曜(祝日の場合は翌日)
料金:入館700円(特別展は1,000円)