2017.09.15

天恵と百万石の資産に育まれ、季の彩りに満ちた口福眼福。

天恵と百万石の資産に育まれ、季の彩りに満ちた口福眼福。

地の利と歴史を背景に

金沢の食文化を象徴する「加賀料理」は、懐石料理を基本に郷土料理や慶事料理が加味され、伝統文化を融合し、料亭において開花しました。これを支えるのは季節の豊かな恵み。日本海に突き出た能登半島をはじめ北陸で揚がる海の幸、加賀や能登の野の幸、白山麓の山の幸です。こうした自然の利に歴史が大きく関わっています。  加賀藩祖前田利家をはじめ藩政初期の藩主たちは公家文化の京風を好みました。一方、江戸幕府への配慮から武家文化である江戸風もとり入れたため、京風と江戸風の食が共存するようになります。また藩政時代、城下では自宅に客を招く「およばれ」の慣習が根付き、賓客のもてなしの料理には九谷焼や金沢漆器など伝統工芸品が盛んに使われるようになったのです。 美食家たちが一目おく加賀料理は、芸術品のように色彩を放ち金沢の滋味にあふれています。

治部煮

加賀料理の真価を伝える金沢の料亭

金沢には加賀料理の正統を踏襲する13の料亭があり、その一つが犀川河畔にある「日本料理 杉の井 穂濤」です。明治末期建築の邸宅を生かした座敷は、緑あふれる庭園と相まって折々の風趣ある佇まいを呈します。料理は、選りすぐりの素材の味を引き出し、美術工芸や骨董の器に盛られた美しい品々。一品一品間合いを見計らって運ばれます。  杉の井の別邸離れでは、昼の「くずし会席」を供しており、加賀料理の“入門編”として気楽に食事を楽しむことができます。

杉の井

【DATA】
日本料理 杉の井 穂濤
にほんりょうり すぎのい ほなみ
☎076-243-2288
石川県金沢市清川町3-11
11:30~13:00LO、17:00~20:00LO
不定休
6室(100席)
昼6500円~、夜1万2000円~、要予約