震災でも諦めない輪島塗の底力
2024年1月1日の能登半島地震で被災した範囲は大きく、多大な被害を受けました。
能登半島の被災地の皆様には謹んでお見舞い申し上げます。
輪島に工房や店舗を構えていた輪島塗の老舗、田谷漆器店も施設が倒壊しました。
まだまだ誰もが路頭に迷う大変なさ中に、地震の被害から立ち上がろうといち早く輪島塗業界のクラウドファンディングを立ち上げました。同時に被災を免れた輪島塗の商品を(他社の商品も含め)クラウドファンディング内で販売を始め、復興の足がかりとして、少しずつ前に進もうと懸命に努力しています。100以上もあるという制作工程を地道に積み重ねていく輪島塗のように、現在の輪島塗業界は一工程ずつであるけれど、確実にしっかりと前に歩み始めています。
田谷漆器店は2021年7月に、金沢店をOPENさせていました。
文政元年(1818)創業で10代続く輪島塗の塗師屋ですが、その長い歴史にある販売先には一般家庭はほとんどなく、全国の料亭や旅館、神社仏閣ばかりでした。田谷漆器店が百貨店で個人客向けに販売を始めたのは昭和63年(1988)ごろから。それでも高級であることに加え、使い方や手入れの仕方などにも慣れてないこともあり、一般家庭にはなかなか普及しません。
そこで、一般にはなじみが薄かった輪島塗をもっと身近に料理で体験してもらおうと、輪島塗の器で料理を提供する田谷漆器店「CRAFEAT(クラフィート)」を開いたのです。 食卓にあるだけで存在感を放つ輪島塗ですが、奇をてらわずに家庭に取り入れてほしいと、1階は酒に合う軽いおつまみなど気軽に利用できるカウンター席、2階は意表をつくような創作会席を提供するカウンター席。提供する料理の内容は違えど、どちらも料理と工芸食器を存分に楽しめる、密やかな空間を設けたのです。
実際、家庭に輪島塗があったとしても、どのような時に使えばよいのか迷ってしまいますよね。そんな漆器へのギモンのヒントもいっぱい詰まったクラフィートは、食べて飲んで楽しみ、手に取って感じ、扱い方や盛り付けの方法、聞けば料理のレシピまで学べる、輪島塗の知恵袋のような存在です。
輪島塗や山中漆器などの椀。料理によって使い分けています
用途や使う人が違えば器のカタチも異なります
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