2024.02.20

ぽってりと温かい輪島塗で滋味あふれる料理を~田谷漆器店~

ぽってりと温かい輪島塗で滋味あふれる料理を~田谷漆器店~

震災でも諦めない輪島塗の底力

2024年1月1日の能登半島地震で被災した範囲は大きく、多大な被害を受けました。
能登半島の被災地の皆様には謹んでお見舞い申し上げます。

輪島に工房や店舗を構えていた輪島塗の老舗、田谷漆器店も施設が倒壊しました。
まだまだ誰もが路頭に迷う大変なさ中に、地震の被害から立ち上がろうといち早く輪島塗業界のクラウドファンディングを立ち上げました。同時に被災を免れた輪島塗の商品を(他社の商品も含め)クラウドファンディング内で販売を始め、復興の足がかりとして、少しずつ前に進もうと懸命に努力しています。100以上もあるという制作工程を地道に積み重ねていく輪島塗のように、現在の輪島塗業界は一工程ずつであるけれど、確実にしっかりと前に歩み始めています。

田谷漆器店は2021年7月に、金沢店をOPENさせていました。
文政元年(1818)創業で10代続く輪島塗の塗師屋ですが、その長い歴史にある販売先には一般家庭はほとんどなく、全国の料亭や旅館、神社仏閣ばかりでした。田谷漆器店が百貨店で個人客向けに販売を始めたのは昭和63年(1988)ごろから。それでも高級であることに加え、使い方や手入れの仕方などにも慣れてないこともあり、一般家庭にはなかなか普及しません。
そこで、一般にはなじみが薄かった輪島塗をもっと身近に料理で体験してもらおうと、輪島塗の器で料理を提供する田谷漆器店「CRAFEAT(クラフィート)」を開いたのです。 食卓にあるだけで存在感を放つ輪島塗ですが、奇をてらわずに家庭に取り入れてほしいと、1階は酒に合う軽いおつまみなど気軽に利用できるカウンター席、2階は意表をつくような創作会席を提供するカウンター席。提供する料理の内容は違えど、どちらも料理と工芸食器を存分に楽しめる、密やかな空間を設けたのです。

実際、家庭に輪島塗があったとしても、どのような時に使えばよいのか迷ってしまいますよね。そんな漆器へのギモンのヒントもいっぱい詰まったクラフィートは、食べて飲んで楽しみ、手に取って感じ、扱い方や盛り付けの方法、聞けば料理のレシピまで学べる、輪島塗の知恵袋のような存在です。
 

 

輪島塗や山中漆器などの椀。料理によって使い分けています

用途や使う人が違えば器のカタチも異なります

 

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1階は小さなショップと気軽なおつまみ

玄関を入るとすぐ左手に小さなクラフトショップがあります。棚には輪島塗ばかりではなく、九谷焼や山中漆器、金箔製品など地元の伝統工芸品も並んでいます。田谷さんは、「箔一」の浅野会長や浅野社長とも懇意にしていたことから、金箔を施した箔一の製品も並べられ、料理の器にも使用されています。このミニショップだけに立ち寄っていただき、見るだけでも大歓迎だそうです。

 

1階の奥はカウンター6席の和風バルになっていて、2~3人ほどの立ち飲み席も用意されています。1階は気軽に楽しめるアラカルト料理を提供。金沢おでんをはじめ、金時草のポテトサラダや加賀蓮根の和風ピクルス、生麩の田楽など、なんと380円~用意。これらもすべて輪島塗や九谷焼など伝統工芸の器に盛り付けて出されているので、家庭で使うときの参考になりますね。ドリンクは、クラフトビールの金澤ビールや能登の焼酎、石川の地酒などが揃い、ペアリングは店のスタッフに相談してみて。  

 

 

店頭スペースにミニショップがあり、棒茶や和ろうそくも販売

箔一の金箔製品やクラフト作家の土鍋もあります

1階のカウンター席。スタッフと気軽に会話も楽しめます

金時草のポテトサラダ380円と加賀蓮根の和風ピクルス380円

生麩の田楽780円。味噌は、金時草・五郎島金時・加賀蓮根・加賀棒茶の4種

通年提供の金沢おでん盛り合わせ(1人前)1,280円。上品な出汁が秀逸

 

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2階は知る人ぞ知る「玉手箱」登場の会席

店奥の階段を上がるとカウンター8席の2階に。大きな窓がある店内からは、木倉町の通りが見渡せ開放的な雰囲気です。
「輪島塗は実際に手に取っていただかないと、丁寧に塗りを重ねた手触りの良さや緻密な蒔絵や沈金の加飾技術など、その良さが伝わらないですね」、と2階で腕を振るう料理人の奥村さん。

奥村さんが、食材の生産者と直接やりとりをして調達した海産物や野菜などを使い、献立を考えます。ここでは、そんな地元食材たちを生かした料理とそれをまとう器たちのショータイムが始まります。
輪島塗の一段重や輪島塗の椀、九谷焼の器などに品良く盛り付けられた料理が続き、そのクライマックスは山中漆器の重箱で供される「のどぐろのお刺身 玉手箱造り」。当店のスペシャリティです。重箱のふたをおもむろに開けると、中からふわっと白い煙が立ち上り、思わず「髪は大丈夫かしら?(笑)」と、正体は加賀棒茶の瞬間燻煙。刺身がほんのり香ばしさに包まれ、粋な演出に心躍り笑顔がこぼれます。

2階は完全予約制。基本は会員制で会員優先ですが、ビジター(ディナー1万1,000円~)も予約OK。
料理に使用される器はすべて購入も可能とのこと。お気に入りがあったら聞いてみましょう。輪島塗は欠けたり色がくすんだりした場合、修理ができるというのも大きな特徴です。また、使い込んでいく中で色の変化も楽しめ、愛着も湧いてきます。
本日の取材で輪島塗の良さをいっぱいお聞きし、実際に手に持つてみるとぽってりとして温かくてやさしい、そんな大らかな魅力たっぷりの輪島塗に恋しそうな日でした(笑)

 

 

2階のカウンター席。ゆったりと落ち着いた大人の雰囲気

加賀水引や能登上布、能登の仁行和紙などを使ったセッティング

甘鯛のうろこ焼き、もずくのしんじょう。古い時代の椀に映えます

花咲かじいさんを題材にしたお重に前菜を盛り込んで

みなさんお待ちかねの玉手箱。1階では単品で提供しています

最近の輪島塗はこんなカラフルな器もあるんです

 

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たやしっきてん くらふぃーと
田谷漆器店 CRAFEAT
 

TEL:090-4740-4177
住所:金沢市木倉町5-2
時間:17時~22時30分LO(土・日曜、祝日は16時~)※予約受付は電話またはHPの予約フォームもあり
休日:火曜
駐車場:なし
HP:https://www.craft-eat.com/
https://www.wajimanuri.co.jp/

田谷漆器さんの商品はこちらからもご購入いただけます

田谷漆器さんの商品は箔一の通販サイトHAKUICHI STYLEで、現在北陸の作家様をご紹介している「がんばろう北陸」のコーナーでも販売しています
ぜひご覧ください。