漆器の従事者が1200人を超す山中塗
漆器の製造所の数が全国1位の石川県。石川県には、輪島塗、金沢漆器、山中漆器の3つの産地があり、その中でも山中漆器がダントツ1位です。木地の山中、塗りの輪島、蒔絵の金沢、という言葉もあるくらい、山中は木地の技術が優れています。
山間に位置する山中温泉は、漆の器に適した樹木がすぐに手に入る環境であったことから、およそ400年前から木製椀を作る挽物技術が発達。江戸時代には漆塗りや蒔絵の技術が伝えられ、日本有数の漆器の産地に育ったそうです。椀木地の薄挽きや木地の肌に極細の筋を入れる加飾挽きに優れ、ほかの産地では真似ができないほどの高度な技術をもつ職人たちが山中漆器を支えてきました。
山中漆器は木製の漆器だけでなく、プラスチックの素地にウレタン塗装をする近代漆器も生産。伝統漆器と近代漆器を合わせた生産額ではなんと全国1位です。そのうち、約8割は近代漆器が占めています。
山中漆器の生産は完全分業制。近代漆器でも成型・塗装・蒔絵の各工程の職人がいます。後継者育成にも努め、「山中漆器産業技術センター」を設立し、全国から研修生を募集しています。木製漆器の技術と伝統を大切に守りながら、近代漆器で産地を支えているという両輪があってからこそ成り立っているのですね。
※写真は喜八工房の欅の糸筋椀
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