蓄音器が奏でる至福の音楽時間
ひがし茶屋街や近江町市場などの観光地にほど近い、尾張町の一角にたたずむちょっとレトロな雰囲気の建物。ここが金沢蓄音器館です。蓄音器は明治10年(1877)にアメリカでトーマス・エジソンが発明した音を再生する装置。エジソンの発明によって人類は初めて「音を再生する手段」を手に入れました。蓄音器は登場以後、瞬く間に人々の心をとらえ、さまざまなタイプの蓄音器が音楽とともに愛されてきました。実物を見たことがなくても映画やテレビドラマで蓄音器の姿を目にしたことのある方も多いでしょう。
多くの流行歌を生み出し、時代を彩ってきた蓄音器でしたが、アナログからよりよい音、長い演奏時間を求める時代の流れとともに昭和50年代には姿を消しつつありました。そのころ、金沢市で長年レコード店を営んできた故八日市屋浩志氏が、無造作に捨てられていた蓄音器に心を痛め、収集を始めたことが、今の金沢蓄音器館のルーツとなりました。現在は世界各地の蓄音器約600台、SPレコード約4万枚を収蔵する蓄音器専門のミュージアムとして、日本はもとより世界中からファンが訪れています。