2025.12.01

かつての街の面影を今に伝える~金沢市指定保存建造物7選~

かつての街の面影を今に伝える~金沢市指定保存建造物7選~

魅力はフォトジェニックな外観

金沢市指定保存建造物とは、「金沢を代表する住宅や店舗などの歴史的建造物の保存を推進するため、規制を外観のみとした金沢市独自の制度として昭和57年に創設されたもの」(金沢市HPより)で、現在、39件が指定されています。江戸時代の商家やお茶屋、明治から昭和の風情ある町家やレトロな洋館など、とても多彩。いずれもその外観は建築当時の町の雰囲気を色濃く残しており、これらを背景にした記念撮影もステキです。チェックしてみて下さい。※メイン写真はひがし茶屋街、手前の左、朱塗りの建物が旧諸江屋。

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繊細な出格子が美しい茶屋建築【旧諸江屋】

ひがし茶屋街のメインストリートに立地。江戸時代末期から明治初期に建てられたかつてのお茶屋です。丈の高い2階建てで、1階のベンガラ色の出格子や2階の雨戸など、外観は茶屋建築の典型的な造り。木虫籠(きむすこ)といわれる出格子は、1間(1.8m)の間に70本以上の竪桟が入っています。さらに、桟の形は、内側が狭く、表側が広い台形なので、外から内を見通すことができず、内からは外が見えやすいという独特の造りです。

現在は、同サイトを運営する「箔一」の店舗「金澤しつらえ」で、北陸のハイクラスな工芸品を発信するギャラリーショップとなっています。2階の茶房では茶屋街を眺めながら甘味を楽しめますよ。

ベンガラ色のお茶屋に柳が揺れて、花街風情たっぷり

金澤しつらえ・かなざわしつらえ

TEL : 076-251-8899
住所 : 石川県金沢市東山1-13-24
時間 : 9時~18時、カフェは10時~16時30分LO
休日 : 無休 
駐車場 : なし

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記念撮影の大定番スポット【俵屋】

天保元年(1830)創業。「あめの俵屋」として広く知られる飴屋。米と麦芽だけを用いた自然な甘味の飴を作り続ける老舗です。名物のじろあめは量り売りもしているので、贔屓の客が容器を持って買いに来るという昔懐かしい光景も。

建物の年代は江戸時代末期と推定されています。表構えは間口6.5間(11.8m)、奥行き11間(19.9m)の大店で、2階が低く、木格子や「さがり(小屋根の下の幕板)」、「蔀戸(しとみど※跳ね上げて開ける戸)」など、古い町家の特徴がみられます。

のれんバックの記念撮影は金沢観光のお約束のひとつ

あめの俵屋 本店 あめのたわらや ほんてん

TEL : 076-252-2079
住所 : 石川県金沢市小橋町2-4
時間 : 9時~17時30分(日曜は~17時)
休日 : 不定休 
駐車場 : 7台

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高町家の重厚なたたずまい【旧中村邸】

金沢市立中村記念美術館(当サイト2019.02.05で紹介)の敷地にある旧中村邸は、酒造業を営む中村氏の住居として昭和3年(1928)に建てられ、41年(1966)、現在地に移築改装されました。金沢の町家は大正時代から軒が高くなる高町家(たかまちや)が普及し、旧中村邸もその形式となっています。

館内は2階の広間と次の間がほぼ往時のままで、朱の壁や凝った欄間、銘木を使用した天井など、贅を尽くした造りです。通常、邸内は非公開ですが、春と秋に一般公開があります。また、オープンなイベントが開催される際に入館できます。

柱などには厳選されたヒノキ材やケヤキ材が使われている

旧中村邸 きゅうなかむらてい

TEL : 076-221-0751(金沢市立中村記念美術館)
住所 : 石川県金沢市本多町3-2-30
※旧中村邸公開日は、中村記念美術館HPで確認を
駐車場 : 20台

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黒々とした文字の暖簾が粋!【経田屋米穀店】

江戸時代末期創業の米穀店。金沢で最も古い米屋の一つで、今も米穀販売業を営んでいます。店を構えているのは、加賀藩ゆかりの寺、観音院へ続く観音町通りの中ほど。町家が軒を連ね、暮らしの息遣いが感じられるエリアです。

建物は、明治37年(1904)頃の建築。後部は居住部として昭和に建て替えられていますが、1階の「大戸(おおど)」や「蔀戸(しとみど)」、2階の格子窓や「袖うだつ(そでうだつ※隣家との境に張り出した防火壁)」など、外観は往時の町家の趣を残しています。観音町通りの景観を支える重要な建物で、国有形登録文化財です。

経田屋米穀店のある観音町通りはひがし茶屋街に隣接

経田屋米穀店 きょうでんやべいこくてん

TEL : 076-252-1595
住所 : 石川県金沢市観音町1-6-4
時間 : 8時~17時
休日 : 不定休 
駐車場 : なし

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昭和のレトロモダンを彷彿【旧三田商店】

かつての輸入商・三田商店の店舗として、昭和5年(1930)に建てられました。鉄筋コンクリートの2階建てで、外壁にチョコレートブラウンのスクラッチタイルが貼られているのが目を引きます。このタイルは、細い溝が刻まれたタイルで、世界的建築家フランク・ロイドが帝国ホテル旧日本館の外壁に使ったことで流行したものです。

また、正面の入り口上にはステンドグラス、2階のバルコニー風の窓台など、細かな装飾も注目ポイント。昭和初期の貴重な建築物として国登録有形文化財になっています。 なお、現在は「ギャラリー三田」となり、陶磁器や漆器、ガラスなどの骨董品や美術品を展示販売しています。

老舗が集まる尾張町の大通り沿いに立地。ひがし、主計町の茶屋街もすぐそば

ギャラリー三田 ぎゃらりーみた

TEL : 076-222-0056
住所 : 石川県金沢市尾張町1-8-5
時間 : 10時~18時
休日 : 無休 
駐車場 : 5台

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表は3階建て、裏は4階建て!?【山錦楼】

明治28年(1895)創業の老舗料亭です。建物は、現地に移転した大正11年(1922)に建てられました。元は2階建てでしたが、大正14年(1925)頃に正面左側の3軒分を改築し、昭和11年(1936)頃に3階部分を建て増して継いでいます。

ユニークなのは、犀川河岸の段差に立地しているため、正面から見ると3階建てですが、背面の犀川側から見ると地階があらわで4階建てに見えること。坂のカーブに合わせて緩やかに折れ曲がっている造りも見事です。

木造3階建ての圧倒的な存在感。犀川大橋の袂から寺町台地へ上がる蛤坂(はまぐりさか)に立地

山錦楼 さんきんろう

TEL : 076-241-3617
住所 : 石川県金沢市寺町5-1-38
時間 : 11時~14時、17時~21時(昼夜共に要予約)
休日 : 日曜(予約があれば営業) 
駐車場 : 3台

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大きな縄のれんが目印【高木糀商店】

創業約190年。杉桶など昔ながらの道具と製法を受け継ぐ麴専門店です。店頭では味噌や塩糀、甘酒などを販売しており、おみやげとしても好評です。 建物は江戸末期の建築とされる町家で、間口6間(10.8m)強という大店の構え。1階正面には、「蔀戸(しとみど)」があり、2階正面は丈が短く、防火のために漆喰を厚く塗った塗家(ぬりや)造り。さらに、「袖うだつ(そでうだつ)」など、典型的な古い町家の特徴をとどめています。

金沢市内唯一の麹店。店内には昔ながらの作業場がある

高木糀商店 たかぎこうじしょうてん

TEL : 076-252-7461
住所 : 石川県金沢市1-9-3
時間 : 9時~19時
休日 : 無休 
駐車場 : 4台




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